惹かれるうまい書名です。タブーの財務省批判を口にした森永とそれを出版した「三五館シンシャ」にエールです。
結論
癌に冒され死を目前にした著者の命をかけた叫びを受け取りつつ、いったい自分は何をすればいいのか。悩みが一つ増えてしまいますが、常に考え続けること、真実を見極めていくことを忘れないようにしたいと思わせる一冊。
概要
森永卓郎著『ザイム真理教―それは信者8000万人の巨大カルト』は、2023年5月22日にフォレスト出版から発売されたビジネス・経済ジャンルの書籍です。
「やさしく、やわらかく、面白く、日本経済に警鐘を鳴らす本」と紹介されており、その教義を守り続けて転落し続ける日本経済や国民生活に警鐘を鳴らしています。
また、森永氏はNHKラジオ「マイあさ!」(2024年1月14日放送)に出演し、日本経済を好転させるために消費税を即時全廃し、1人当たり月額7万円のベーシックインカムを給付すると語っています。
生成AI
感想
ザイム真理教の教義は「歳出を減らし(緊縮財政)、庶民から税を搾り取る」ということです。
この教義の元に長く官僚を務めると、マインドコントロールが進むと著者は指摘します。
大蔵省に35年間在職した野口悠紀雄氏もその一人だという。野口氏の著作は分かりやすくてたくさん読んだし、一大ブームとなった「超整理手帳」は私は何年も活用したものです。
この野口氏も「財政均衡主義」を唱え続けたと著者は指摘します。「財政均衡主義」とは歳出と税収が同じでないと国は破綻するという考えです。財務省(真理教)が国民に常に訴え続けていることです。「こんなに借金があるんですよ。だから増税しないと国は滅びますよ」と脅し続けます。
森永氏はこれを国のバランスシートで否定します。企業の経営状況を見るときにバランスシート(貸借対照表)で考えます。左側に資産右側に負債があり、その差で純粋な資産がわかるというもの。日本のバランスシートで確かに負債は1000兆オーバーあります。しかし、資産も同程度の額があるのです。
他の先進国に比しても、経営状況は優良といえるらしいのです。財務省はこの資産部分を示さず、負債だけが大きい大きいと言うわけです。「こんな借金を子や孫に残してはいけない」と言うわけです。
森永氏はこれは霊感商法と全く同じだと断じます。霊感商法は「あなたには悪霊が付いている。このままだと子や孫にまで不幸が及ぶ。それがいやならこの100万円の壺を買いなさい」と迫ります。
同じように財務省は借金を先の世代に残さないように、「今増税しなさい」と迫るわけです。
財務省の行為にストップをかけることができるのが政治家なわけですが、現在の政治家でそれを行う人はいません。なぜなら、徹底した財務省の洗脳が政治家に向けて行われるからとも著者は指摘します。
代表的なのが野田佳彦元総理です。野田氏は「消費税に天下り役人がシロアリのようにたかっている」として消費税増税に反対したのです。ところが財務副大臣になると、いきなり消費増税推進に鞍替えします。財務官僚による朝から晩までのマインドコントロールによるものです。
そして、消費税は5%から8%へ、さらに10%へと2度の増税が完遂され現在に至ります。
本書は財務省のカルトぶりを指摘し、日本停滞の30年の原因のひとつが財務省にあることを示しています。
死を目前にした森永氏の命がけの告発を知り、私たちは具体的にどうすればいいのでしょうか?何ができるのでしょうか?飯山陽氏のような正しいリーダーを支援していくことぐらいしか思いつきません。つねに考え続けるしかないのでしょう。
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