リドリー・スコット監督作品「最後の決闘裁判」本日上映終了とのことで、最終回に行ってきました。砂の惑星とほぼ同じ153分の大作である。終わったときには21時で、レストラン街は軒並み営業終了していた。しかし、長さを感じさせない素晴らしい映画であった。3人の主人公ジャン(マット・デイモン)、ジャック(アダム・ドライバー)、マグリット(ジョディ・カマー)たちの視点から語られる「真実」3章の構成に冒頭の決闘が始まるまでと最後にクライマックスの決闘シーンでサンドイッチするわかりやすい作りになっている。3者の言うことが微妙に異なり、本当の真実は何なのかはわからない。まさにそれは、黒澤明監督作品「羅生門」である。芥川龍之介の「藪の中」を原作にした「羅生門」は一人の女と2人の男のそれぞれに異なる回想で語られるのだ。さて、「決闘裁判」では、微妙な違い、例えばマグリットが靴を自分で脱いだのか、脱げたのかやジャンが強姦されたことを話した妻をすぐにいたわったか、首を絞めんばかりに激高したのかなど、各人のエゴがその違いに反映される。それが意識的か無意識的かは別にしてだ。「真実」が何かとは非常に難しいものであるということが示されたかのようだ。それにしても、主人公3人の演技の凄さに魅了される2時間半である。それから、マット・デイモンの盟友のベン・アフレックの最高に嫌な伯爵の演技も素晴らしい。映像美はリドリー・スコットだ。間違いは無い。
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