映画「蜜蜂と遠雷」

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松岡茉優主演「蜜蜂と遠雷」を観ました。一抹の心配はあったが、杞憂だった。楽しめる音楽映画として結実している。栄伝亜夜を演じる松岡の台詞は少なく、その複雑な心情を表情や体の動きで演じなければならず、力が試される。ラストシーンのそのきょとんとした表情から笑顔に至るにおいて私はすごいと思った。当然だが、このピアノコンクール映画における、クラシック音楽のパワーは素晴らしい。この映画を観て、プロコフィエフのファンは増えるかもしれない。大学のピアノの(例えば前期)試験の課題曲に自分が作ったピアノ協奏曲を使ったという逸話をもつ天才プロコフィエフ。この天才の音楽がたくさんの人に拡散されるというのは価値あることである。この映画はそのことに一役買っているのではないか。もう一人の天才がいる。バルトークだ。本選でバルトークの第3協奏曲を弾くのは、謎の天才少年風間塵だが、本選から逃げ出そうとする栄伝が、踏みとどまり決意をするシーンで、バルトーク第2楽章のこの世のものでないような美しい旋律が重なる。白血病に冒されたバルトークが人生の終焉に描いた美しい旋律が、栄伝を音楽のステージに引きもどすという表現に感動する。松坂桃李もブルゾンちえみもいい仕事してます。片桐はいりだけは?だったが。おすすめしたいクラシック音楽映画だ。PS演奏シーンも見事。よくある「ビブラート」でばれてしまうようながっかり感はありません。

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