クラシック音楽館でシューマンの1・4楽章を聴いて一発で引きこまれました。クラシック倶楽部で全楽章とバッハを聴き完全にはまりました。
結論
凜としたまなざし、クールビューティ日下紗矢子に完全にノックアウトです。
日下紗矢子
東京芸術大学を首席で卒業後、アメリカ・南メソディスト大学に留学、同大学院アーティストコース修了。2006年よりフライブルク音楽大学にて、ライナー・クスマウルのもと研鑽を積む。田渕洋子、浦川宜也、清水髙師、エドアルド・シュミーダーらに師事。
1995年イフラ・ニーマン国際ヴァイオリンコンクール第1位。2000年パガニーニ国際ヴァイオリンコンクール第2位、第69回日本音楽コンクール第1位、シベリウス国際ヴァイオリンコンクール第3位。02年ロドルフォ・リピツァー国際ヴァイオリンコンクール第1位。98年青山音楽賞、09年出光音楽賞ほか受賞多数。2008年よりベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団 第1コンサートマスター、09年に設立されたベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラではリーダーを務める。13年には読売日本交響楽団のコンサートマスターにも就任し、現在、特別客演コンサートマスター。16年より「Streichtrio Berlin(ベルリン弦楽トリオ)」のメンバーとしても活動。21年より自ら芸術監督を務める「芦屋国際音楽祭」を主宰している。
トッパンホールHPより引用
感想
バッハ:ゴルドベルク変奏曲
ベルリン弦楽トリオのメンバー、日下・フェリックス・シュヴァルツ(ヴィオラ)・アンドレアス・グレーガー(チェロ)による、シトコヴェツキー編曲のゴルトベルク変奏曲から抜粋。
アリアの冒頭のバイオリンの1音から、その透明で凜とした表現に引きこまれます。
3人の一体感がすばらしく、全員が演奏をこころよりたのしんでいるのが伝わります。インタビューの中でチェロのグレーガーが「紗矢子と演奏するのは本当に楽しいんだよ」というのが単なるリップサービスでないのがわかります。
グレーガーは弦楽トリオを「3本足のスツール」に例えて、「足が1本でも短いところんでしまう」「四重奏なら1本短くても座れる」として、各人の技量の均一性をわかりやすく話していました。
シトコベツキーはこの作品を「グレン・グールドの思い出のために」編曲したことは始めて知りました。
最後にアリアに戻ったとき、いくつもの変奏を越えた後のアリアの再来は、昇天するが如き美しさで感動的でした。
シューマン:ピアノ五重奏曲
上記の3人に、バイオリンの小川響子とピアノの日下知奈が加わり5重奏に。日下知奈は日下紗矢子の姉であり、小川響子は名古屋フィルのコンミスです。小川は葵トリオなど室内楽にも精力的に活動してる人。人が増えてもこのアンサンブルの一体感がすばらしかったです。
特にバイオリンの二人の親和性が強く感じられ、小川は日下につけるハーモニーのときもまた自分が出るときも明快で主張もしっかりされていました。
1楽章途中でチェロとビオラの美しい掛け合いの旋律が出ますが、チェロの入りが絶妙に歌っていて、自由な表現が実にいいなあと感心しました。
2楽章では途切れがちの悲しい旋律が各楽器に移っていきますが、見事な統一感で聴かせます。
一転天国的な旋律を第1バイオリンが奏でますが、限りなく透明感に満ちた美しい音で奏でられまさに昇天です。日下は演奏の姿も本当に美しくてうっとりします。
再び冒頭の短調の旋律に戻ります。TVカメラは日下紗矢子の表情を正面からよくとらえており、きりっとした表情と視線がしびれるようです。NHKよくやりました。
この楽章は中間に急に激しくなる部分もあり、とても変化と美しさに富んだ曲ですばらしさに驚きます。
3楽章は早いスケルツォで、アンサンブルの一体感が冴え渡ります。3拍子から2拍子に変わったトリオは迫力に満ちています。
終楽章は自由さにあふれていて大好きです。ラスト近くに1楽章の主題のフーガがあり、興奮は最高潮に達します。アンサンブルを支える日下紗矢子のまなざしはするどく美しく、クールビューティそのもので魅了されます。
最近のクラシック倶楽部の演奏の中で特に気に入ったすばらしい演奏でした。一発で日下紗矢子のファンとなった私は、すぐに彼女のCD「バック トゥ バッハ」を注文してしまいました。クラシック倶楽部は再放送が頻繁にされるので、もし見つけたらぜひ御覧ください。
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