新作公開中 マーティン・スコセッシ監督作品「ケープ・フィアー」復讐者デ・ニーロの恐怖 ねっとりした色気を伴った演技に驚愕

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結論

デ・ニーロの演じるサイコパスゆえ、半端ない存在感と独自性。それに絡む俳優たちのアンサンブルの妙。ヒチコック等の技法のパスティーシュなど見どころ満載。プライムビデオで視聴可能。

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概要・あらすじ

ケープ・フィアー』(Cape Fear)は、1991年アメリカ映画1962年に公開された『恐怖の岬』のリメイクである。

憎悪と復讐心を蓄えた服役中の男と、その復讐相手である担当弁護士およびその家族を描くサイコスリラー映画。

オリジナル版では主人公の弁護士サム役だったグレゴリー・ペックが犯人の弁護士リー・ヘラーを演じ、犯人役だったロバート・ミッチャムが主人公の友人の警部、主人公の友人の警察署長役だったマーティン・バルサムが犯人に有利な採決を下す裁判官を演じるというひねりの効いた役でそれぞれカメオ出演している。

wikiより引用

制作は「アンブリン」です。スピルバーグの会社ですね。当初スピルバーグ自身が監督予定でしたが、最終的にスコセッシがメガホンをとりました。二人は友達なんですね。

スピルバーグはスコセッシに「シンドラーのリスト」を監督してくれないかと頼みましたが、「この映画は君が撮るべきだ」とスコセッシはユダヤ人であるスピルバーグのことを考えていったとのことです。親友なんですね。

強姦罪で14年の刑を受け、服役中のマックス。彼は敗訴した原因が担当弁護士サムの怠慢にあると考え、異常な逆恨みを募らせていた。その後、出所した彼は復讐を果たすため、サムの住所を突き止め、ストーキングを始める。やがてマックスの存在に気づいたサムは彼から逃れるため、妻と娘をつれて密かに避難することを決める。一家は、避難先として借りたクルーザーのある岬へと向かうのだが…。

ネットより引用
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感想

十字架の天秤ばかりを背中一面に描いた刺青のデ・ニーロが筋肉隆々な姿を見せるところから映画は始まります。

当時すでに47・8歳だったデ・ニーロですが、役者は鍛えていますね。のっけから男の魅力をぶつけてきます。

刑務所から出て、カメラの方にどんどん歩いてくるデ・ニーロ。カメラにぶつかるまで迫ってきます。これは、映画の初期の「列車が観客に迫ってくる」という有名な見世物的映像を模倣したといわれています。

でも、なんか笑っちゃいます。すでに映画が見世物的でなくなった現代に持ち込んだ表現は、今ではギャグに捉えられるのでは。スコセッシの意図はどうなのでしょうか。

ジェシカ・ラングは1976年のジョン・ギラーミン版の「キング・コング」でのヒロインや「郵便配達は二度ベルをならす」の人妻で、私にはセクシーな印象が強い女優さん。

年を重ね42歳の女ざかりな本作でもそのパワーは発揮され、デ・ニーロとくり広げるとてもセクシーなシーンがドキドキさせます。ショートカットがたまりません。

「娘ではなく自分を」と懇願する母のシーンはよくあるシチュエーションですが、ジェシカ・ラングとデ・ニーロだとこれほどセクシーで刺激的になることに驚きます。

でも本作で話題となったのは、ジェシカよりも娘役ダニエルを演じたジュリエット・ルイスの方です。俳優の父をもつ彼女は若くしてTVドラマに出演していましたが、本作でなんとアカデミー賞助演女優賞にノミネートされます。両親の夫婦喧嘩に辟易し、情緒不安定でデ・ニーロにもひかれていく少女を好演しています。

いかにもアメリカのティーンという風貌で、クライマックスでデ・ニーロの上半身を火の海にしてしまいます。

あれだけの炎に包まれたのに、結構平気なデ・ニーロは少し不自然さはあるものの、それはそれ恐怖の怪物デ・ニーロゆえに許してあげましょう。

名優たちのアンサンブルに、ねっとりとしたデ・ニーロの色気あるサイコパスが絡まる稀有な魅力の作品となっていました。

クライマックスで、船が紙細工のようにぐしゃぐしゃに壊れるのは印象的。ミニチュアかな?

マーティン・スコセッシ

幼少期の頃からハリウッド映画の古典だけでなく、イタリアのネオレアリズモ映画(とくにロベルト・ロッセリーニ)や、ジャン・ルノワール監督などのフランス映画、イギリス映画の巨匠マイケル・パウエル監督の『赤い靴』、日本の溝口健二監督の『雨月物語』など、世界の映画の古典を見て育っており、黒澤明の映画を名画座に通い続け鑑賞し、実際にフィルムを手にし、カットの構成を研究し尽くしたという。また、ニューヨーク大学時代には『豚と軍艦』を含む今村昌平の監督作を何作か見てその感性に共感した(スコセッシ曰く「今村の作品は血となり肉となった」)他、小林正樹監督の『切腹』、『上意討ち 拝領妻始末』に深い感銘を受けたという。また、イタリア映画に対する思い入れも強く、イタリア映画に関するドキュメンタリー映画『マーティン・スコセッシ 私のイタリア映画旅行』を制作した。

wikiより引用

まあ映画オタクですね。本作もヒチコック風が多数。音楽からバーナード・ハーマンです。

日本映画の研究をこれほどしているとは知りませんでした。世界に誇れる監督がかつて日本には多数いたのですね。今はどうなのでしょう?日本国内での需要で満足している感があるように思えてなりません。

そういえば、黒澤の「夢」では、スピルバーグとルーカスが制作協力し、なんとスコセッシはゴッホ役で映画に出演していました。スピルバーグとルーカス、スコセッシは黒澤を師と仰ぐ仲間たちなのですね。

samon
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本作は以前にも見ていたわけですが、時を経て見直してみると、いろいろな発見があり実に楽しいですね。さあ、スコセッシ監督の新作「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」近日中に劇場にて鑑賞予定です。スコセッシ常連のディカプリオとデ・ニーロの初共演。楽しみですなあ。

コメント

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