小倉千明 著「嘘つきたちへ」病院ブログ どんでん返しの5つの短編

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みんながお正月のおいしいものを食べているときに病院食

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結論

バラエティに富んだ様々なシチュエーションでの会話劇と驚愕のどんでん返しが小気味よい

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概要・あらすじ

過疎化が進んだ町で小学校時代を過ごした大地は、二十年以上前の卒業以来初めて東京で同級生二人と再会する。虫取りやスイカ割りなどのノスタルジックな思い出話は、自然と五年生の時に起こった事故の話に移っていく。リーダー格の少年・翔貴が沼に落ちて昏睡状態となり、目覚めぬまま最近亡くなった水難事故の真相とは? 第一回創元ミステリ短編賞受賞作「嘘つきたちへ」など、全五編の“嘘つきたちの競演”。注目新人のデビュー短編集。

「このラジオは終わらせない」
「ミステリ好きな男」
「赤い糸を暴く」
「保健室のホームズ」
「嘘つきたちへ」

小倉千明(オグラチアキ )

1984年山口県生まれ。神戸大学卒。2023年、会社員として働く傍ら投じた「嘘つきたちへ」が第1回創元ミステリ短編賞を受賞(同時受賞は、水見はがね「朝からブルマンの男」)。『嘘つきたちへ』が本格的なデビューとなる。

ネットより引用

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感想

「このラジオは終わらせない」
ラジオの放送ブースの中で展開するというシチュエーションはおもしろい。おのずと限られた登場人物になってきます。ラジオパーソナリティでピン芸人とそのマネージャー、そして芸人のネタを作り続けている作家の3人。

オンエア中の芸人のしゃべり、その中で取り上げる投稿が一つの章、音楽とCM時の芸人と作家、マネージャーの会話が一つの章、それが交互に描かれる。

普段オンエアしか聞けない私たちだが、舞台裏も知ることができる面白さがあると思います。クライマックスでは、犯人が転々と変わっていき、押し寄せる変化に読む者はくらくらするほどです。

「ミステリ好きな男」
これは前作と全くシチュエーションが異なります。豪雨の中、橋が落ちて通行不能に。森の中の豪邸に複数の男女が避難してきます。いわば豪邸密室状況。前作とは一転しての重厚な世界を作ろうとします。

不気味な女主人と執事。高校生の男女、軽い中学教師と偉そうな中年の男、そして語り手でもあるミステリ好きな男が登場人物です。

これまた二転三転のどんでん返しの連続ですが、ミステリ好きな男の正体が明かされるラストにはびっくりです。

「赤い糸を暴く」
列車の中が舞台。登場人物ははっきり言って2人。相席した女性。男女の運命の赤い糸が見えるという中年女性がまずはひたすら話者として語り続けます。幼児期から赤い糸が見えた彼女の、成長に従ってさまざまに体験し考えたことが語られていきます。

彼女の最大の懸念は、自分の父親と母親の赤い糸がつながっていないということ。父親の赤い糸は短く途切れているが、母親のそれは長くどこかへとつながっている。父母は不仲で、母はひたすら耐えしのいでいる。父の自分へのあたりも冷たく厳しい。彼女は大学進学を機に家を出る。

その後の友人関係の中で、彼女は赤い糸のつながる秘密を発見します。

ここからこれまで聞いていた若い女性に話者が代わります。彼女は強姦に合い、不幸なことに妊娠しています。これから堕胎手術に向かうところ。隣には、悲劇を慰め優しく寄り添ってくれた男性が眠りこけています。赤い糸の話が、瞬間で大どんでん返しに変わる逸品です。

「保健室ホームズ」
舞台は小学校の保健室。保健室登校の男の子と彼と給食を共にする役目を仰せつかったクラスメイトの男子がメインの登場人物です。意外に明るく聡明な保健室登校の男子と引っ込み思案の男子はどんどん仲良くなっていきます。

安楽イス探偵ならぬ「保健室探偵」を気取る転校生は、何か学校で不思議な出来事はないかと求めます。読書でも勉強でもないのに、毎日図書室にやってきて本の感想文カードを書いていく不思議な男の子の事が俎上に乗ります。図書室の状況やレイアウトから保健室ホームズは、感想文カードの男の謎を鮮やかに推理します。

小学生二人の会話で進行する物語は、小学校の様子を彷彿とさせるリアリティがあります。

後半様子が変わってきて、中心人物ががらりと一変する読後感のずんと暗い結末が待っています。

「嘘つきたちへ」
第1回創元ミステリ短編賞受賞作です。これまでの4作品はすべて書き下ろしで、この短編賞受賞作を中心に本にするために書き下ろしされたのでしょう。

久しぶりに会う小学校時代の同級生。いっちー、つむつむ、みーちゃんの3人が居酒屋で展開する会話劇です。

ところで予定より1週間ほど早く退院です。うれしー。病院食ともおさらば。病院食にも不思議となれてきてたんですけどね。

学年4人しかいない過疎の小学校での思い出話。彼らは翔貴という町長の息子に支配されていました。日々嫌な思いをしながらも、彼らはそれが普通だと思っていた。ところが管という東京からの転校生によって変化が起こります。翔貴は管も支配しようと近づきますが、管はそれを相手にしない。

3人はこれを見て、翔貴の思い通りにしない道もあることに気がつく。そして大雨で増水した沼で3人はある行動に出ます。

小学校時の暗い思い出をめぐる3人の会話は不思議な方向にずれていく。そして驚きの2重のどんでん返しで読者を翻弄してくれます。

「保健室ホームズ」にしろ本編にしろ、小学生がここまでやるのか?という疑問符は頭をかすめますが、作者の本領たるどんでん返しの妙に満足することができました。

samon
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シュチエーションの違う5つのどんでん返しをぜひご堪能あれ。オススメ

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