山田洋次監督作品「男はつらいよ ぼくの伯父さん」を観ました(BSテレ東)。第42作。冒頭は、寅が電車の中で老人に席を譲らぬ学生を立たせて、老人を座らせようとするが、老人から「年寄りじゃねえ」と拒否され、寅と老人はけんかになり・・・。主題歌が入って、そのバックで無言劇として進むという趣向。この老人役は、イッセー尾形で、前作ではウィーンの旅券をとらやに届ける旅行会社の社員役で出ていた。このように同じ役者が違う役で登場するものこのシリーズのおもしろいところ。例えば「すまけい」や「松村達雄」が思い浮かぶ。松村などは、寅次郎物語で医者の役で出たが、以前は「おいちゃん」役だったこともある。
さて、本作から満夫の恋三部作がスタート。満夫が恋するのは後藤久美子。幼くたどたどしい感じも残るが、その瞳は輝くばかりに美しい。満夫は彼女に会いに、家出してバイクで名古屋から九州佐賀へ。佐賀で寅と満夫は偶然再会する。名古屋から佐賀まではかなり遠い。バイクでは相当に疲れるだろう。映画ではあっという間に関門大橋を渡るが、九州に住む身としては、その遠さは壮絶だ。満夫の思いの強さがよく分かる。名古屋では、泉(ゴクミ)の母(夏木マリ)と満夫は出会うが、次回作ではその夏木マリがマドンナになるようだ。今度は同じ泉の母親役だが、同じ役者を何度も使う山田監督の手法がここでも出ている。寅と夏木ははたしてどんな展開になるのかたのしみである。
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