予習 ダニー・ボイル監督アレックス・ガーランド脚本「28日後・・・」現在公開中同監督脚本での「28年後・・・」のスタートを観る

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結論

練られた脚本、イギリスの美しい風景、ダニー・ボイルとアレックス・ガーランドのタッグは最高の作品を作り出す

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概要・あらすじ

ダニー・ボイル監督、アレックス・ガーランド脚本によるSFホラー映画である。人間を凶暴化させるウイルスが蔓延し、感染者が人々を襲ったために壊滅状態になったロンドンを舞台に、生き残った人々のサバイバルを描く。PG-12指定

wikiより引用

たった1滴の血液で感染し、人間の精神を数秒で破壊する新種のウィルスが発生した。感染者の血管は純粋な激しい怒りで溢れ、人間の声を聞いただけで相手を殺そうと襲いかかる……。28日後、ジムは病院の集中治療室で昏睡状態から目覚める。世界から何もかも消滅してしまったような静寂の中、ジムは生き残った4人の非感染者たちと共に1台のタクシーで旅立つ。未来を救えるわずかな可能性を信じて。しかし、死のウィルスより恐ろしい存在に彼らはまだ気づいていなかった……。

ネットより引用

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感想

オッペンハイマーのキリアン・マーフィー演じるジムが目覚めた真っ白な病院。誰もおらず、病院の外に出ると無人のロンドンの町が待っています。終末感を無人で表現するその映像に捉えられてしまいます。自分以外誰もいない恐怖を突き付けられ、心は映画の中に取り込まれてしまう見事な冒頭部分です。

このシーンの撮影は早朝のロンドンの町でなされたとのことですが、降り注ぐ陽光は早朝とは思えないものです。何らかの光学処理がなされているのでしょうか。

この終末状況の原因も、映画の初めに明確に提示されます。凶暴化したサルの檻を、不用意な人間が開いてしまうヒューマンミス。パンデミックに陥ったコロナウイルスも武漢の研究所から漏れたヒューマンミス(意図的との噂も)だとのアメリカの見解が最近ありました。青山繁晴氏は「武漢熱」と呼んでいますね。

日が暮れて暗闇が浸食する中、アパートの上階に灯りを見いだしたときのジムの希望の大きさを観る者も共感するシーンが見事です。スーパーのカートを積み重ねたバリケードに阻まれる中で、初めて迫り来る感染者の恐怖が描かれます。壁に映る感染者のシルエットでそれを描きます。

ひとりぼっちと思っていたジムは、父娘と一人の女性とアパートで出会います。それはまさに生きる希望だったでしょうね。父は毎日同時刻にラジオに流れてくる軍からの呼びかけを信じ、今の安息の地であるアパートを捨てて移動を考えています。

その背景には食料・水が底をついていることがあります。そのままアパートに残っても先はないのです。選択肢はなかったといってもいいでしょう。4人は車に乗り込み、移動を開始します。ここからはアレックス・ガーランド得意のロード・ムービーが展開していきます。

「シビル・ウォー」しかり、噂によると新作「28年後」もロード・ムービーらしい。車で移動しながら様々な人や事柄に出会っていくロード・ムービーという形は、映画の典型ともいえるかもしれません。

ジムたちは、人間の文明の豊かさの象徴でもあるスーパーマーケットで買い出しをします。好きなものをカートにほおりこんでいく4人。その表情はしあわせそのものです。父は最後にレジにクレジットカードを置いていきます。盗人ではないという誇りを示しています。

思い出すのは押井守監督作品「うる星やつら ビューティフルドリーマー」です。荒れ果てていく友引町の中で、なぜかコンビニだけは在庫が補充されます。メガネらは豊富な食料を買い出しに出かけますが、最後にメガネは借用書を書いて壁に貼ります。これまた盗人ではないことの証を残していくということです。どんなに周囲が荒廃しようとも、盗人に成り下がることは人としてのプライドが決して許さないのです。

娘は車を運転することができ、しかも荒い運転で父を怒らせるシーンがありますが、これはクライマックスの複線になっており、脚本の周到さが光ります。

父はぶら下げられた感染者の死体を見上げたときに、死体からしたたる一滴の血液が目に入ってしまい感染してしまいます。これは血液がたとえば顔に付いたとしても、粘膜などを通して体内に入らなければ感染しないということ。ぬぐいされば大丈夫ということ。これは「28年後」で表現されているようです。

放送信号を送っていた軍隊と無事出会うことができるわけですが、独裁的な王国化しており、安息の地とはなりません。娘と女性の二人の女は、ドレスを着せられ男の嗜好を満たす状態にさせられます。しかし、無秩序にレイプされることはなく、秩序のもとに「種の保存」のためのパートナーとして描かれている気がしました。

やせっぽちでとてもケンカが強そうではないキリアン・マーフィーは、この危険な状況に突如覚醒して、軍人相手にたった一人で戦いを挑んでいきます。上半身裸で雨の中を跳梁する彼は、無敵のロイ・バッティ(ブレードランナーの人造人間)を彷彿とさせました。

エピローグのイギリスの美しい草原とそこに広がる「HELLO」の文字は希望一杯のシーンで気持ちよく映画は終わるわけですが、最後の1文字を掲示する前は「HELL(地獄)」となっていて、地獄からたったの1文字で希望に変化するというおもしろさがありました。

この美しいイギリスの大地は「28年後」でたっぷり描かれることに。イギリス出身のダニー・ボイル監督の真骨頂でしょうか。同じ脚本のアレックス・ガーランドの「シビルウォー」で描かれているアメリカの荒野とは対照的でした。

samon
samon

久しぶりに観たのですが、以前とは異なる気づきに、映画は観るたびに新しいものを与えてくれると思いました。さて「28年後」楽しみですねえ!

コメント

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