中野晴啓著「投資バカ」日銀が金利を上げない理由

雑記
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中野晴啓著「投資バカ 賢い人は金融機関を信じない」を読んでいます。

著者の中野氏は直販投資信託の会社セゾン投資の社長さんです。2015年7月末に発刊された本書ですが、その中に2022年4月現在に的中しそうな予言がありましたので、記しておきます。

samon
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アメリカFRBが金利を上げることを始めました。日銀は金利を上げることをせず、その金利差のために円安が進んでいるようです。なぜ日本は金利を上げることをしないのか。中野氏は説明します。

(日銀の)量的緩和策がとられ続けている限り、日本の金利は上昇しませんが、量的緩和策は、デフレから脱却し、年2%程度の緩やかなインフレを引き起こすことに狙いがあります。

P145

日本はもう何十年もデフレから脱却できず、賃金も上がらず、経済がうまく回らずに苦しんでいます。しかし、様々な事情から最近インフレがじわじわ進んできているのを感じます。2%程度のインフレに向かっているのではないかと思います。

日銀の黒田氏は「金利は上げない」と明言しました(令和4年3月18日の金融政策決定会合)。インフレは一時的なものであるとの理由でした。

中野氏は7年も前の著作で次のように予言しています。

インフレになると、相対的にお金の価値は下落します。その下落分を補うために金利があるのですが、インフレになったとしても、ひょっとしたら金利は上昇しないのではないかと思うのです。

P145

その理由は、日本の債務と関係があると中野氏は言います。日本の債務は「2021年時点で1212兆4680億円を上回っています。(マイナビニュース)」なのです。

日本の金利が上昇すると、この巨額の債務の調達元である国債の発行利回りも上昇するため、政府の資金調達コストが大幅に跳ね上がる恐れがある。これは政府が最もおそれていることだ。というわけです。

そのため、仮に目標値通りのインフレ率を達成できたとしても、利上げは相当程度、タイムラグを置いてからになるのではないでしょうか。

P146

すると困るのは国民です。物価が2%上がるのに、金利が0.02%のままだと、資産価値は年に1.98%ずつ目減りしていくことになるからです。これは、銀行にお金を預けていてもどんどん減っていってしまうということです。

しかし、この状況は政府にとっては、好都合です。インフレが進むということは、借金そのものが軽くなるからです。それに加えて金利が上がらなければ、政府の利払い負担はさらに軽くなります。すでに1000兆円に達した政府債務負担を、まともな方法で軽減させるのは不可能とも言われていますから、インフレになる環境を醸成しながら、金利は上げないという政策をとってくる可能性は、十分にありそうです。

P146

現状をまさに言い当てているような気がします。

中野氏はそのように述べながら、だからNISAという非課税制度が登場したと言います。

(NISAの登場は)「政府はインフレ政策をとるので、お金を預金に預けたままにしておくと、これから目減りする恐れがありますよ。今のうちにインフレに強い株式や株式投資信託に資金をシフトしさせておきましょう」というメッセージなのではないかと思うのです。

P146
samon
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中野氏の予言、どうだったでしょうか?今後の政府の動きをしっかり見つめていく必要はあると感じました。NISAという優遇税制の登場にはそれなりの理由が存在するというのは当然ですが、政府の思惑を見抜く国民の智恵も磨いていかなければならないとも感じました。日銀のやること政府の行うことは、私たちの生活に直結するものですから、ぼんやりしてはいけないわけです。本書はそんなことを思わせてくれました。残り5分の1ほども興味深く読みすすめてみましょう。

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