上五島へ旅したお話をしましょう。
出発
乗船、まさかの
9月24日(月)はとてもよいお天気で、初めて乗る高速船にもワクワクしていました。
乗船し、船首の広めのカーペット席に行こうとすると、船員さんから「今日はしけてるから、後ろがいいですよ」と言われました。
後方のカーペット席は狭く、すでに3人の方が寝そべっていましたが、素直にそこに加わることに。
1時間40分くらいの乗船で、私も寝そべってゆったりしていました。ところが途中から変な脂汗が出てきて、非常に気分が悪くなりました。え?まさか船酔いか。乗り物酔いなんて子供のとき以来のことで、すっかり忘れていたのでした。
上五島有川港に到着。地面に降り立つと、気分の悪さはあっとう間に消えてしまいました。レンタカーを借りて、世界遺産「頭ケ島教会」に向かいます。
頭ケ島教会
途中の展望所でお昼を食べ、北東へ向かいます。教会に下るところに人がおり、間違わないようにガイドしてくれました。
教会の前まで来て、駐車場は?と探していると、またおじさんが走ってきて、裏の駐車場を教えてくれます。
受付では、女性の職員さんが笑顔で対応してくれます。非常に親切な仕組みに驚きました。そういえば、この教会の参観にはネットからの申し込みが必要で、申し込み後も丁寧なメールでのガイドがなされました。
こんな気持ちのよい対応システムはどこからお金が出てるのかなと思いました。まさか、信徒さんのボランティア?
さて、いよいよ教会と対面します。地元の砂岩を切り出したという石造りの教会は質素ながらも堂々たる面持ちです。いわば男性的な教会。
教会の中にも入ることができました。中は一転して、柔らかい色調やお花を模した装飾など「女性的」に変わります。とてもおもしろいバランスです。
イスに座ってしばらく時を過ごしました。聞こえる音は、扇風機の回る音と参観者の囁くような声。しばし目を閉じて、長崎本土の外海からはるばるとこの地に逃れて、信仰を守った人々の祈りの声を想像しました。
オーディオ探訪
この旅の目的は、友人の亡くなったお父様がオーディオマニアで、残ったオーディオ製品やレコードなので欲しいものがあったら持っていって欲しいといううれしい依頼を実現することでした。
その日の夜、友人のお宅におじゃまして、すばらしい夕食をいただきました。当地のお魚のおいしさを存分に堪能させてもらいました。本当にありがとうございました。忘れません。
その後早速オーディオ部屋を探訪させてもらいました。
NHKのプロ用のオープンリールデッキやTEACの有名なオープンリールデッキなどすごいものがありました。しかし私には使い切れないと思い、そのままに。
SONYのアナログプレーヤーが堂々と鎮座していました。ワクワクして電源を入れましたが、残念ながらターンテーブルは回りませんでした。
そのかわり、DENONのDL-305カートリッジとSONYのカートリッジをいただくことに。
ソフトでは「The super analog disc」の重量盤シリーズを中心にいただきました。一世を風靡したゲリー・カー(コントラバス)のディスクが多かったですね。その超絶技巧に驚きました。長崎にも来たことがあるカー。今は後進の指導に当たられているようです。
また、ハリー・ベラフォンテのカーネギホールのライブもいただきます。
DVDもどうぞ、ということで「スターウォーズEP3」「眼下の敵」、そして高畑勲の「セロ弾きのゴーシュ」には狂喜しました。
翌日、いただいたものを箱に詰め宅配便で自宅に送付したあと、なんとお昼までごちそうになり、おまけに大好きな「五島うどん」や「ふしめん」をお土産にいただいてしまいました。
恐れ入るほどのおもてなしをいただき、感謝のしようがありません。おもてなしがこんなに人を喜ばせるんだと、おもてなしの大切さをひしひしと感じ学ばせていただきました。
DENON DL-305
DL-305は、振動系に微少ダイヤモンドチップ、軽量で剛性の高い極薄アモルファスボロンのカンチレバー、十字形巻枠に、硬質樹脂の採用によって実効質量の飛躍的な軽減を行なうとともに、磁気回路に高性能サマリウムコバルトマグネットを採用して本体の軽量化をはかっています。
DENON公式HPより引用
この結果、トレース能力は更に高められ、しかも、75kHz以上の超高域再生を可能にするとともに、ひずみが少なく、優れたリニアリティを実現することができました。
DL-305は、クォリティの高い最新のレコードや、ダイナミックレンジの広いレコード等に対しても、従来のカートリッジでは十分表現できなかった音楽の実在感、微妙な音楽のニュアンスまで鮮かに再現し、オーディオ、音楽を愛好する方々に深い感動を与えることができます。
昭和55年当時の65000円ですから、今なら倍ぐらいするでしょうか。
上記記事にもあるように、高音の変化が如実でした。それは、次に述べる「海野義男」氏のバイオリン名曲のアルバムで強く感じることになります。
海野義男
チェリスト海野幹夫氏の父親ですが、やはり彼の名を日本中に知らしめたのはいわゆる「芸大事件」です。
ガダニーニ事件ともいう芸大教授の収賄事件は、彼の印象を決定的に悪くしています。
上五島のオーディオルームで「海野義男 バイオリン名曲集」を見つけた時、持ち帰るか少し迷いましたが、彼の音を聞いてみたいという思いの方が勝ったということです。
ヴァイオリニストの父(海野次郎)とピアニストの母にヴァイオリンの英才教育を受け、青山学院高等部を経て、1954年、東京芸術大学に入学、鷲見三郎、兎束龍夫、ヴォルフガング・シュタフォンハーゲンに師事し、1958年、同大学を首席卒業した。同年12月、ヴィルヘルム・ロイブナー指揮のNHK交響楽団とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を共演し、1959年、23歳の若さでNHK交響楽団のコンサートマスターに抜擢され、また、NHK弦楽四重奏団を主宰し演奏活動をしていた。
wikiより引用
その後ベルリンに渡り、シュバルベやシゲティに師事し、グラモフォンからレコードも出しています。
日本に戻ってからはこれまた最年少39歳で東京芸術大学の教授になっています。すごい才能の持ち主に違いありません。
その後に起きる芸大事件には触れません。気分がいいものではありませんからね。
さて、彼の音をDENON DL-305で再生してみました。
とにかく驚くべき美しい音色。その透明な高音に「なんだこれは」が脳内で爆発します。
世俗な収賄云々、陰謀云々の様々な汚物を一気に払しょくするような美しさです。
続けて聞いたイツァーク・パールマンの演奏は、もやがかかったようだったので、録音の良さも多分にあったと思いますが、海野義男のバイオリンの音には心底驚愕そして感動させられました。
上五島の楽しい旅のようすにお付き合いいただきありがとうございます。また行ってみたい場所です。おもてなしくださった友人のお母様に本当に感謝いたします。ありがとうございました。
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