
月曜日11:00の回。6人ほどか。さて続編はいかに?
結論
期待を裏切らない出来。動画実況・司法・家族などさまざまな問題を含みながらアクションエンタメとして「観て良かった」と思わせる快作
概要・あらすじ
法の網の目をすり抜けた悪人たちを審判する報復殺人。犯人は殺人鬼か正義のヒーローなのかー?
家族のことを気遣う暇もなく昼夜を問わず犯罪と戦うベテラン刑事ソ・ドチョルに累計観客動員数1億俳優で『ソウルの春』のファン・ジョンミン、正義感溢れる新人刑事パク・ソヌに 『D.P. -脱走兵追跡官-』のチョン・へイン。刑事としての正義感とプライドがぶつかり合う激しいアクションシーンに興奮が止まらない。更に、「財閥×刑事」のアン・ボヒョン、凶悪犯罪捜査班のメンバーとしておなじみの「イカゲーム」シーズン2のオ・ダルス、「涙の女王」のチャン・ユンジュ、『デビルズ・ゲーム』のオ・デファン、「ラブレイン」のキム・シフらが集結。監督は、韓国を代表するヒットメーカー・『モガディシュ 脱出までの14日間』のリュ・スンワン。
韓国観客動員数5週連続第1位、750万人突破(2024.12.26/KOFIC調べ)、第45回青龍映画賞最優秀作品賞ほか7部門ノミネート(助演男優賞、技術賞受賞)した『ソウルの春』『破墓/パミョ』『犯罪都市PUNISHMENT』に続く2024年メガヒット作。公式サイトより引用
ベテラン刑事ソ・ドチョルと、凶悪犯罪捜査班の刑事たち。法では裁かれなかった悪人が連続して殺された。不条理な司法制度に憤っていた世論は、私刑を下す犯人を善と悪を裁く伝説上の生き物“ヘチ”と呼び、正義のヒーローともてはやすようになる。ドチョルに心酔する新人刑事パク・ソヌが加わり、事件は解決に近づくかのように見えたが・・・。
同上
感想
冒頭からミス・ボン大活躍です。裏カジノへの富裕層の奥様に変装しての潜入捜査。表情豊かさが実に愉しい。突入時期を外で待っているドチョルチームは車の中にぎゅうぎゅうで、皆カップラーメンを食べてます。狭い車内でおならはたまらん。観てる方も顔をしかめます。
いよいよ突入。スライドドア車両を壁に近すぎ駐車で、外に出られない課長でさらに笑わせてくれます。逃げ惑うミセスたちの上を下への外階段。階段から階段へのドチョルのジャンプに応援の声に大拍手など、ベテラン続編の冒頭はとんでもなく楽しく幕を開けます。
今作のテーマは「ネット動画と天誅殺人」前作が巨大財閥のアホボンとの対決でしたから、当然ながら時代に合った方向に変えてきています。
天誅殺人の原因は不条理な司法判断。裁かれない悪人に鉄槌をくらわせる「ヘチ」への市民の賛同が膨れていきます。ヘチの行為は正義なのか?それが物語の背骨となります。
彼の国のみならず、日本でも外国人の不条理な司法判断に頭をかしげることも多くあります。暴走行為で日本人を殺した外国人が不起訴に終わることが多くあります。のうのうと自由になった犯人を誰かが殺したときに、はたして自分はどう思うだろうか。「よくやってくれた」と絶対思わないとは言えないのです。
司法を正常にすることが根本の解決策なのでしょうが、どうしていいかわからない。そんな一般市民が天誅に喝采を送る気持ちは十分に理解できることです。
ヘチを演じるのは、優しげなルックスがまさにザ若手韓国俳優を思わせるチョン・ヘイン。見た目は柔らかいがそのアクションは超ハードです。前作からのお約束「あいつはケンカが強い」が継承されています。
見せ場のひとつがクリスマスで賑わう南山(ナムサン)のイベントでのヘチと思われる男を追う新人刑事パク・ソヌ(実はヘチ)とドチョルの、多くの人々の間を山を下りながらの追跡劇です。二人の若者の恐るべき身体能力とベテラン・ドチョルの息を切らせながらの追跡は、一抹の悲哀を感じさせながら「がんばれドチョル」の応援の気持ちは高まります。

もう一つの見せ場、屋上でのドチョルチームとパク・ソヌの雨の中での対決。ドチョルのチームメンバーがたった一人のパク・ソヌに次々にやられていきます。どんだけ「ケンカが強い」んですか。

ミス・ボン以外男だらけのドラマの中に光る女性が二人。ドチョルの妻と彼女が助けようとする外国から嫁入りしている若い未亡人です。ドチョルの妻は息子とともに今回重要な役回りです。それによりドチョルのファミリー全体がドラマに関わってきています。
硬派なドチョルも妻との関わりや思春期の口をきかなくなった息子への悩みなど、一人の父親・夫としてのありようが描かれ、ドチョルが人間くさく親密感を抱く存在となっているわけです。
若い未亡人は最後のクライマックスにも加わり盛り上げます。
息子とドチョルの関係は鍋のインスタントラーメンを食べるシーンで、映像的にその関係が改善していることを示します。最後まで口が重い息子にしたのは見事です。へたに息子に語らせなかった。息子がいじめに対し我慢してきたのもドチョルの背中を見ていたからということも何の説明がなくても見る者にしっかりと伝わってきます。台詞で説明するつまらん映画の対極にある存在といえるでしょう。
第1作に比して、夜のシーンが多くいわゆるノワール調でまとめているのも見事。

続編は期待を裏切らない快作でした。やはりこの監督の力量はそうとうなものです。そして人間くさいドチョルを見事に演じるファン・ジョンミン。「ソウルの春」での全斗煥の憎たらしさといい、役に入りきる名優です。劇場公開は終了したと思いますが、ぜひ配信などで御覧ください。そして、シリーズ第3弾も熱望したいです。
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