リドリー・スコット監督最新作「ナポレオン」泣き虫ナポレオンの一生 最強の戦術家のひたすら愛するジョセフィーヌとは

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結論

ジョセフィーヌとの恋愛を中心に描き出す異色のナポレオンの姿。圧倒的な戦闘シーンは大画面大音響の劇場で観るべし。

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概要・あらすじ

巨匠リドリー・スコット監督と『ジョーカー』でアカデミー賞®主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス。アカデミー賞作品賞受賞の「グラディエーター」以来 23年ぶりの夢の再ダッグが実現! ナポレオンの妻ジョゼフィーヌ役には、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のホワイト・ウィドウ役を演じたヴァネッサ・カービー。脚本は『ゲティ家の身代金』でもスコット監督とタッグを組んだデヴィッド・スカルパなど、超一流のキャストとフィルムメイカーが集結。

公式サイトより引用

1789年 自由、平等を求めた市民によって始まったフランス革命。マリー・アントワネットは斬首刑に処され、国内の混乱が続く中、天才的な軍事戦略で諸外国から国を守り 皇帝にまで上り詰めた英雄ナポレオン。最愛の妻ジョゼフィーヌとの奇妙な愛憎関係の中で、フランスの最高権力を手に何十万人の命を奪う幾多の戦争を次々と仕掛けていく。冷酷非道かつ怪物的カリスマ性をもって、ヨーロッパ大陸を勢力下に収めていくが――。フランスを<守る>ための戦いが、いつしか侵略、そして<征服>へと向かっていく。

同上
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感想

マリー・アントワネットのギロチンシーンから映画はスタートします。首が飛ぶシーンはこの映画の中で何度も出てきます。監督の首ちょんぱへの偏愛が感じられます。

出世の切っ掛けとなった「トゥーロン攻囲戦」では、自分の命運をかけた初めての戦いの指揮を執るためか、「はぁはぁ」息が荒くその緊張がよく伝わります。しかし、いざ突撃となった時には、自分が誰よりも早く突入していく姿が描かれます。短気でけんかっ早い性格が判然とします。

投獄されていたジョセフィーヌは髪を乱雑に切られた状態でしたが、ロベスピエール処刑とともに牢を出たあとは、髪の伸びとともに美しさもいや増していきます。このときすでに二人の子供がいます。つまり生殖能力は正常ということですね。

ナポレオンはジョセフィーヌとの間に跡継ぎができないことが悩みでしたが、生殖能力のテストとして別の女性と交わり、子をなしたことがら、ナポレオンにも生殖能力はちゃんとあったということ。

なぜ跡継ぎは生まれなかったのかは謎ですね。跡継ぎ欲しさの愛情の無いセックス(高速ピストン)では子はさずからないということでしょうか?それは非科学的ですね。

ならばジョセフィーヌが妊娠しないようにしていた可能性が出てきます。ピルのようなものがあったのでしょうか?子が産めないなら離婚と言われ、ジョセフィーヌも困っていたようでしたが・・・。

このジョセフィーヌの人物像がすこしあいまいに感じました。恋多きエキゾチックな美女と歴史には残されています。子を二人もうけた後、有力者の愛人であったときにナポレオンに一目ぼれされるシーンは映画でも出てきます。

ナポレオンとの結婚後も、彼の遠征時に不倫をします。歴史には彼女はナポレオンを粗野な男と見下していたとあります。ゆえの不倫でしょう。しかしナポレオンに叱咤され、映画ではその後はおとなしくなる描き方です。

子が出来ないために、ナポレオンと離婚しますが、離婚後も与えられた城に幽閉されたように、生気なく描かれます。しかし、元の不倫相手の存在がカメラに収められ、その後どうなったかは判然としません。希代の悪女でもなく、かといってもちろん良妻でもなく曖昧模糊とした描き方に感じました。

そんなジョセフィーヌへのひたすらの純愛を捧げるナポレオンは、何度も涙を流す完全な「泣き虫」です。子どもっぽい。戦闘時の冷徹勇猛果敢さとの2面性が強調されています。

それにしても数ある戦闘シーンはすばらしい出来栄えだと思います。特に凍った水面に砲撃する、「ボロジノ(モスクワ川)の戦い(たぶん)」のスペクタクル感は半端ない。水面に沈む兵と一面に広がる血液の描写は執拗に繰り返され脳裏に焼き付きます。

割れる氷から必死で這い上がろうとするも、滑って水没していく恐怖よ。

圧巻の戦闘シーンのはざまに、ピラミッドやスフィンクスの静的な絵も挟まれ、見事にバランスよく展開していくのもさすがです。

ナポレオンとジョセフィーヌの戴冠式の絵画が遺されていますが、それを再現したシーンの豪華絢爛さも心に残ります。

英雄が国王にまで上り詰め、その後専制政治を行ったことにベートーベンは落胆したようですが、その辺はあまりつっこまれておらず、どちらかというと王になってもあまりその本質は変わらない人物として映画では描かれているように感じます。ひとたび権力をもつと豹変する人は多いですけどね。

町山智宏氏のユーチューブを聞いていると、人々に人気のあるナポレオンの周りの武官達のことが全然描かれていないとのこと。まあ、そこまで描くとどこまでも時間が長くなりそうではありますが。

最後に悲しい話。映画鑑賞代金が2000円に値上がりしてました。シニアな私は、会員価格でも1300円。インフレは続く、実質賃金は下がり続ける。平民の苦しみは続く。

samon
samon

ジョセフィーヌとの関係を映画の中心におき、圧巻の戦闘シーンで楽しませてくれました。異色のナポレオン像かも知れませんが、これはやはり劇場の大画面大音響で観るべき映画。まだの方劇場に急ぎましょう。

コメント

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