モルゴーアカルテット演奏会を聴く ショスタコーヴィチ全曲演奏のために結成された独特の四重奏団 彼らの音楽の魅力とは・・・

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samon
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ソ連の大作曲家ショスタコーヴィチ。以前広島交響楽団の演奏でブログを書きましたが、今回は彼の室内楽について、そしてショスタコーヴィチを演奏するために結成された独特の四重奏団について書いてみます。

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結論

ショスタコーヴィッチの弦楽四重奏とプログレッシブ・ロックの編曲の二本柱で活動する希有な四重奏団には興味津々。激しさと静謐が対比するその演奏に心震えます。

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モルゴーアカルテット

モルゴーア・クァルテット英語MORGAŬA QUARTET)は、日本弦楽四重奏団ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲を中心に据え、プログレッシヴ・ロックをもう一つの柱として、類例を見ない演奏活動を続けている。「モルゴーア(morgaŭa , これは英語読みで、元来は「モルガウア」と発音するのが正しい)」とはエスペラント語で「明日の」の意。

wikiより引用

ショスタコーヴィチの弦楽四重奏はこれまでに4回完奏されています。

モルゴーア・クァルテット MORGAUA QUARTET
荒井英治(第1ヴォイオリン) (日本センチュリー交響楽団首席客演コンサートマスター)
戸澤哲夫(第2ヴォイオリン) (東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団コンサートマスター)
小野富士(ヴィオラ) (NHK交響楽団ヴィオラ奏者)
藤森亮一(チェロ ) (NHK交響楽団首席チェロ奏者)

amazonより引用

一流のオーケストラプレイヤーの集まりですね。このグループの特殊性として、プログレッシブ・ロックの名曲を弦楽四重奏に編曲し演奏するということがあります。これは、第1バイオリンの荒井氏が、大のプログレファンであるため。もちろん荒井氏自身が編曲をしています。

ピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、ELPなど70年代の名曲達が4つの弦楽器に姿を変えて、これまでに3枚のアルバムをリリースしています。これは関心大です。わたしも、70年代プログレ大好物ですから。youtubeに「原子心母(ピンク・フロイドの名曲)」の演奏があります。かっこいいですね。

私的にはショスタコよりプログレに興味があります。

このジャケットは微妙ですが・・・。

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演奏雑感

交響曲第9番弦楽四重奏編曲版

演奏は荒井氏が編曲した、ショスタコーヴィチの交響曲第9番の1楽章から始まります。常にせかされて不安を胸に逃げ回っているようです。原曲ではおばかな感じのトロンボーンが同じ事をくり返すのが印象的。

弦だけでもせわしない中に、木管楽器の旋律も加えないといけないので、四重奏ではさらに忙しくなります。

風が駆け抜けるようにこの楽章は終わってしまいますが、この曲はどこかプログレッシブ・ロックににたところがあるかもしれません。ゆえに荒井氏は編曲し演奏に乗せたのだと思います。

自分が好きな曲を編曲して演奏して楽しむ。音楽の原点の気がします。それを貪欲に行っているのがモルゴーア・クワルテットということでしょうか。

ピアノ五重奏曲ト短調作品57

初めて聴く曲ですが、存外気に入りました。ピアノの派手なソロで始まり、チェロへと受け継がれますが、ショスタコらしい旋律が横溢します。その後は静かになったり激しくなったりでこれまたらしい展開です。第5交響曲作品47の旋律らしきものも出てきます。ユニゾンも多用し、分かりやすく親しみやすいです。

弦楽四重奏曲第5番変ロ長調 作品92 

自身のイニシャルである “DEsCH“(DSCH音型)を含んだ、”C–D–Es–H–Cis” の動機が使用されている。

wikiより引用

バッハは「フーガの技法」で自分の名前のつづり「BACH」の音名「シ♭・ラ・ド・シ♮」を使って曲を作りました。また、その後も多くの作曲家がバッハへの敬意を込めて、この4音を使って作曲しており、「BACH主題」と呼ばれます。

これにならって、ショスタコーヴィチは自分のイニシャル「D-sch」の4音「D・Es・C・H」つまり「レ・ミ♭・ド・シ」を含んだ動機が第1楽章に使われています。このことから非常にいらだったような怒ったようなこの楽章は、つまりショスタコーヴィチ自身のいらだちや怒りであると思われます。

2楽章は静謐で、まるで教会のオルガンのような音色の伴奏の中を、静かなバイオリンやチェロが歩いて行くようです。

モルゴーアクァルテットの演奏は、1楽章の激しい演奏が特に素晴らしく感じます。激しさと静謐、これは一面プログレッシブ・ロックに通じています。キング・クリムゾンの「21世紀の○○異常者」と「ムーンチャイルド」この激しい対比。まさにショスタコとつながる気がします。そう考えるとこのカルテットの二本柱はしごく納得にいくものです。

samon
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ショスタコーヴィチの弦楽四重奏はまだまだ勉強不足で十分語れませんでしたが、私が興味があるのは確かです。15曲もあるので、少しずつ深めて行けたらと思っています。いやあ、また楽しみが増えました。モルゴーアのプログレ演奏も聴いてみたいです。特にイエスの「危機」。

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