ホリー・ジャクソン著「夜明けまでには誰かが」テンポ感に乗りさえすれば

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samon
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夜明けまでの数時間の出来事だが、予想外の分厚さ

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結論

スローモーションを思わせるゆっくりのテンポ感に乗りさえすれば、次々に展開する登場人物の秘密に驚かされ続け、ページはどんどんめくられていく

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概要・あらすじ

閉じこめられた6人。生き残るには、この中の「誰かが抱える秘密」を暴かなければ――『自由研究には向かない殺人』の著者が贈る、極限状況下の傑作サスペンス!高校生のレッドは、キャンピングカーで友人3人、お目付け役の大学生2人と春休みの旅行に出かけていた。だが人里離れた場所で車がパンク。携帯の電波は届かない。

 Google Booksより引用

ホリー・ジャクソン
イギリス、バッキンガムシャー出身の作家。子どものころから物語を書きはじめ、15歳で最初の小説を完成させた。ノッティンガム大学で言語学と文芸創作を学び、英語の文学修士号を取得。2019年に刊行したデビュー作『自由研究には向かない殺人』は英米でベストセラーとなり、2020年のブリティッシュ・ブックアワードのチルドレンズ・ブック・オブ・ザ・イヤーを受賞した。続編に『優等生は探偵に向かない』『卒業生には向かない真実』がある。その他の著作にThe Reappearance of Rachel Price(2024)などがある。

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感想

全長31フィートの大型RV車(キャンピングカー)といわれてもすぐにはピンとこないのですが、巻頭のこの車の図がイメージに役立ちます。車の後方にクイーンサイズのダブルベッドがあることからしてかなり巨大なキャンピングカーということになります。

大学生2名と4人の高校生が海辺への春休みのバカンスに向かう途中での災厄が描かれていきます。

女子高生のレッドの視点で語られていきます。レッドと仲間達の関係性も分かりやすく、名前もすぐに覚えられる親切さです。文章も平易でとても読みやすい。

しかしながらその進行はなかなかに鈍重です。全体がスローモーションのような感じです。それでもページを繰らせてしまうのは、ハラハラの出来事が毎章ごとに設定されているからでしょう。

災厄は道を間違えてしまうところから始まりますが、このRV車はいわゆる私たちの車に常備しているようなカーナビはどうも付いていないようです。スマホのマップを頼りに道案内している様子からそれは伺えます。

各登場人物は分かりやすいキャラ作りがなされていますが、特に「俺様」キャラのオリヴァーはなかなかに最後まで悪役を貫き通してくれます。高校生達のグループをリードしなければならない責任感からその強力なリーダー性は始まりますが、次第にエゴイスティックに拡大していきます。

オリヴァーの妹のマディはレッドの親友ですが、前半兄に引っ張られていくように思われますが、彼女の大きな秘密は後半違う方向に歩ませます。

医学生でオリヴァーのパートナーのレイナは頼りになるお姉さんであり、合理的な芯のある考え方が魅力的ですが、彼女も秘密をかかえている。

RVをおじさんから借りてきたサイモンはおちゃらけキャラではありますが、オリヴァーにひっぱられることなく最後まで自分をちゃんともっている人物として描かれています。

アーサーはレッドへの恋心をいだきながらも、最近仲間に加わったためかおとなしめのキャラ。しかし彼も核心的な秘密を抱えています。

「秘密を告白せよ」という犯人の要求に、一人ひとりの秘密が暴露されていくのがおもしろさの中心ですが、よくまあこれだけみんな秘密を抱えているのがフィクションといえばフィクション。

娘の苦しみが解決されるのが救いではあります。

アーサーはその出自からしては実に不自然な成長をしてきた若者であり、いるのかこんな人と思わせます。最後の長い「ごめん」連発のレッドへの手紙も女々しい感が大きいように思えました。はたしてレッドはアーサーに会いに行くのでしょうか?

samon
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ゆっくり進む520ページのテンポ感が気に入れば満足感ある読後を楽しむことができるでしょう。図書館で借りてみて。

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