ベルチャ弦楽四重奏団演奏会(NHK-BS「クラシック倶楽部」)を聴きました。
ベルチャ弦楽四重奏団は、1994年、ロンドン王立音楽院在学中の、ルーマニア出身のコリーナ・ベルチャ=フィッシャー(第1ヴァイオリン)、ロンドン生まれのローラ・サミュエル(第2ヴァイオリン)、ワルシャワ生まれのクシシュトフ・ホジェルスキー(ヴィオラ)、スコットランド生まれのアラスデア・テイト(チェロ)により結成された。アマデウス四重奏団とチリンギリアン四重奏団に師事し、その後、アルバン・ベルク四重奏団にも教えを受けている。
理事長「きのさん」より引用
(中略)
2006年、チェロがアラスデア・テイトからフランス人のアントワーヌ・レデルランに交替。メンバーがルーマニア、イギリス、ポーランド、フランスという多彩な組合せとなる。2006年からロンドンのギルドホール音楽院のレジデント・カルテットに指名される。
はじめの曲は、モーツアルトの弦楽四重奏曲K589です。プロシャ王カルテットの第2番になります。
1790年に作曲した全3曲からなる『プロシャ王セット』のうちの2曲目であり、『プロシャ王第2番』とも呼ばれている。チェロに堪能だった王に考慮して、この曲もチェロが活躍する、とされている。元々モーツァルトは管弦楽でもチェロを独立して使用することに積極的ではなかったが、この『プロシャ王セット』以降、オペラ『魔笛』(K. 620)や『クラリネット協奏曲 イ長調』(K. 622)などでも盛んにチェロが活躍するようになる。モーツァルト晩年特有の響きは、こうしたチェロの用法も一因となっている。
wikiより引用
1楽章から美しいチェロの旋律が活躍します。レデルランの音色は非常の柔かで美しく、主張しすぎずアンサンブルの中で光るという印象です。低い音も埋もれずくっきり聞こえます。うらやましいです。
リーダーのコリーナ・ベルチャがインタビューで語るように、アンサンブルがまるで1つの楽器のように響くことを目指しているといのが実現しているように思われます。同時に各楽器の対話も重視しているとコリーナは言っています。
ホジェルスキーは巨漢の男性なので、ビオラが少し小さく見えますが、音は深々とよく響いて、重要な内声を支えています。高音の美しさも際立っています。
第2バイオリンのアクセル・シャハー(2006年以降にメンバーチェンジしたようです)は、第1バイオリンと完全にシンクロしていて一糸の乱れもなく見事の一言です。
2曲目は、メンデルスゾーンの最後の弦楽四重奏曲「第6番」です。
この曲は、悲劇的な性格を有しています。メンデルスゾーンとしては例外的です。これは、姉ファニーの悲報の影響と考えられます。4歳年長のファニーは自らも演奏や作曲を嗜むなど音楽的才能に恵まれており、弟とは強い絆で結ばれていた人物であったからです。メンデルスゾーン自信、姉の後を追うように亡くなってしまいます。
この演奏は、圧巻の一体感を見せつけてくれます。四人が均質なクオリティであるために、まさにコリーナが理想とする、完全なひとつの楽器の様に響きます。特に、第4楽章の終盤の全員がユニゾンの時のその圧倒的な迫力とそして4つの楽器の音が分かれたときの広がり感が、聴く者にぞくっとするよき鳥肌感を与えてくれます。
素晴らしい一体感を推進し、情熱的に演奏する第1バイオリンのコリーナ・ベルチャの存在無しにはもちろんこのカルテットはありえません。一瞬の乱れもなくそしてメンデルスゾーンの悲劇的な四重奏を構築していく彼女の演奏に引きつけられ、魅了されない人はいないでしょう。
素晴らしきアンサンブルに心より感謝したいです。ベルチャ四重奏団は昨年6月にも来日を予定していましたが、コロナ禍のために公演中止となっています。しかし、たくさんのCDも出しているので、ぜひ聴いてみてほしいカルテットです。NHK-BSクラシック倶楽部も再放送が多いので、アンテナ貼っておけばまた観られるかも知れません。大おすすめ!
おまけ。彼らは4人ともiPadによる楽譜を使用していました。譜めくりはフットペダルでした。チェロのレデルダンがそうっとペダルを踏んでいるのが映像にでていました。デジタル楽譜使ってみたいです。
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