パージ最新作がアマプラで無料視聴になりました。観るしか亡いですね。やはり驚きの展開で、現代の問題を深くえぐるのでしょうか?脚本はパージの生みの親、ジェームズ。デモナコが勤めます。
結論
- スリリングでバイオレントな娯楽作品に間違いなし。
- アメリカの分断と排斥へのアンチテーゼ。
- これまでと異なる白日の下での、バイオレンスアクションが新味。
あらすじ
フォーエバー・パージの紹介:2021年アメリカ映画。人種差別的な政党が政権を掌握したアメリカで、12時間だけ殺人を含むあらゆる犯罪が合法になるパージが行われます。ところがパージが終わってもメキシコ移民を敵視する白人グループによる殺人、暴力、放火などの犯罪が続きます。メキシコ系のアデラとホアンは、パージを避けながらアメリカからメキシコへの脱出の旅を続けます。激しいアクション、カーチェイス、戦闘シーンが見どころになっています。
ネットより引用
メキシコ政府は、パージを逃れるアメリカ人のために6時間の時間限定で、国境を開くという展開です。アメリカからの移民がメキシコに流入するという逆転現象が実に皮肉ですね。
アメリカ人とメキシコ人が協力
アメリカの某大頭領が、メキシコからの移民を防ぐために壁を作ろうとしました。自由の国移民の国であるアメリカが、その本来の姿を捨てて国粋主義に走ろうとしました。本作はそのことへのアンチテーゼであると感じられます。
本作では、牧場主である白人のタッカーとメキシコ移民のアデラが力を合わせて、国境を越えるというのが根幹です。元来アメリカは、多くの人材や頭脳を受け入れ、彼らが協力をして現在の世界1の経済大国になったのでしょう。それが今、分断と排斥の国になってきています。このことへの強力な批判が映画の背骨となっているのですね。
映画のクライマックスでは、少数部族の支援を受けて、主人公達は国境を越えることができます。大国だけでなく、多くの小さな国との協力の必要性も描いています。ホラーとアクションの中に、現代的問題の解決をにじませているのが素晴らしいですね。
陽の下でのバイオレンス
パージはこれまで、午後7時から翌朝の7時までの出来事が語られていました。よって、舞台は夜が中心となるわけです。夜の闇はどこから敵が現れるか分からないスリルを加速すると共に、バイオレンスを見えにくくし、若干やわらげてくれる効果があります。
特にパージシリーズでは、ゴア(残酷)シーンを少し距離をおいて撮影することが多いように思います。街で行われる殺戮を引いて撮影するなどですね。ところが、本作では午前7時以降の太陽の下での展開が中心となります。ですから全体的には明るい印象が残ります。
半面、国境の町エルパソでの激しい乱戦部分は夜で、しかもより暗いシーンが続きます。監督インタビューを読んでみると、予算が少なくエキストラが多数使えなかったと語っています。この夜のシーンでは、戦車等を使って過激ですが、人間はたくさんは出てこないのです。エキストラの少なさを闇の力で演出する工夫がされています。
クライマックスの国境付近での戦いは、白日の下でのアクションが展開します。エキストラが少なかったという事情は、主人公達が小屋に隠れて、それを追っ手が囲むなどのスリリングな状況でカバーしようとしているのが分かっておもしろいですね。まさに演出のマジックの出番というところです。
映画は、新しい生命の誕生や主人公夫婦の安堵感を映して、ハッピーエンドで終わります。その後ニュース報道の声は、混乱した街での市民の立ち上がりを語り、希望をもたせてくれます。そして「新しいアメリカはどんな形のなるのでしょう」と謎をかけて終わります。
何かの変革のときには、その前に大きな混乱や犠牲が生じるものでしょう。過去の歴史はそれを物語っています。今私たちの現実の世界は、そこの入ろうとしているのかも知れません。そう考えると恐ろしくなってきます。
スリリングでバイオレントなエンタティメント展開の中に、現在の社会問題を鋭く批判する作品として結実していたと思います。個人的には、檻の罠にかかったアデラの上に降りてくる杭の恐怖がお気に入りです。なんだかんだいっても楽しめる娯楽作品に間違いありません。アマプラでぜひ御覧ください。つぎどうなるのかなあ。その前に、ドラマのシーズン2を観ようっと!
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