トマ・カイエ監督作品「動物界」 動物に異化していく奇病に侵されていく息子と最後まで家族を守ろうとした父の物語

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samon
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セントラル劇場12:50の回。数人のお客。例によって最前列の中央リクライニングで映画に没頭しました。

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結論

ホラー映画のドキドキ感の中に家族を愛する父の姿、独り立ちへと成長する息子の姿が描かれる感動作。超オススメ。

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概要・あらすじ

2023年、フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞で、一本の破格の衝撃作が異彩を放った。フランス映画のイメージを根底から覆すその作品『動物界』は、日本でも話題となった『落下の解剖学』を凌ぐ最多12部門ノミネートを果たし、同国で観客動員100万人越えの大ヒットを飛ばした。その舞台は、人間が様々な動物に変異する奇病が蔓延している近未来。人種差別、移民、ルッキズム、感染症など現代的なテーマを内包し、ファースト・シーンから観客を釘付けにする”突然変異”のアニマライズ・スリラーが、あなたの想像力を刺する。

公式HPより引用

近未来。人類は原因不明の突然変異によって、徐々に身体が動物と化していくパンデミックに見舞われていた。”新生物”はその凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった。しかしある日、移送中の事故によって、彼らは野に放たれる。フランソワは16歳の息子エミールとともにラナの行方を必死に探すが、次第にエミールの身体に変化が出始める…。人間と新生物の分断が激化するなかで、親子が下した最後の決断とはーー?

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感想

冒頭渋滞で止まっている車内の父と息子のやりとり。二人の関係と反抗する思春期の息子を短い間に表現され実にうまい。反抗した息子は不意に車を降りて後方に歩いて行き、それを追う父。突然アンビュランス車内で誰かが暴れている様子を揺れる車で現し、たたき壊される後方ドア、飛び出す鳥男。

観客は瞬時に、よくある父子の対立風景から、異様な状況の世界にたたき込まれます。もう超すばらしい冒頭シーンだと思います。

二人の向かう先は、世界に蔓延していく動物化の奇病にかかってしまった母親の病院です。母は南仏の奇病患者の収容病院に移動が決まり、父親はそばに転居する覚悟です。料理人である彼はどの地でも職に就くことが可能。息子も一緒にいくことになります。

母親は例のアンビュランス車で移動の際、車が川に転落。中の患者達は森の中へと逃げ出してしまいます。その中に冒頭の鳥人間もいたことは後にすぐわかります。鳥人間は重要な役へと登っていきます。

父親は町のレストランで働き始めますが、休日には息子と森に母親を探す日々。捜索の最中に町の警察(?)の女性と知り合い、彼女も捜索を手伝い始めます。明らかに女性警察官は父親に気があり、夜間の森の捜索中、二人倒れ込み決定的に接近しますが、父親はそれに乗りません。最後までそれは貫かれ、父親の妻への愛の深さが表現されてとても清々しい。

一方息子の身体に変化が現れ始めます。剛毛が生え、背骨の形が湾曲してくる。母親は熊さんですが、息子は狼のようです。隠そうと、爪の下から生えてくるとがった新たな爪を抜くシーンは、痛たたたた。息子が母親同様隔離されるのを防ごうと、父親も息子に協力します。父の息子への愛情も海の如く深いのです。

森への回帰の思いは本能なのでしょうか。息子は何日も森をさまよい歩きます。そこで再会する鳥人間とのエピソードは、映画の最大の感動点だと思いました。何度も失敗しながらついに飛翔した瞬間の映画的感動。「ET」の自転車飛翔シーン同様、ついに飛び立つというのは心躍らされる場面です。

熊化が進んだ母親とも再会します。意識のかたすみに母親の息子への思いが残っていることが察せられ泣けます。鳥人間は話せていた人間語がだんだん話せなくなる。きっと母親もついには息子のことを忘れてしまうことを想像させ一層に涙を誘います。

夜の森での多くの捜索車両・バイクのひらめくライトや爆走シーンは、「ET」をまたも彷彿とさせます。残酷な人間残酷な大人が、無言の暴走するいかつい車両で現されています。

エンディングでは、愛する息子を森に帰すことを父は決断します。世間という厳しい森に入っていく息子の背中を押す、それは一般の多くの父親達とも重なります。この映画は、最後まで家族を愛し続けた父と成長し旅立つ息子の姿を、異形のホラー風味の中に描いたものだと感じました。カエルかわいかった。

samon
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映画的ドキドキの中に父の家族を守る姿が貫かれる感動作でもあります。必見。超オススメ。配信等で出たらぜひ御覧ください。

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