長崎大学 創楽堂での演奏会に行ってきました。
結論
あまり地方で取り上げられない曲を取り上げるというコンセプトがすばらしい。長く続いてほしい演奏会。
デュオ ß(エスツェルト)
共に京都市立芸術大学に学んだピアノの井原千璃とチェロの村田静菜の20代の若きデュオ。昨年より、二人の故郷である北九州と長崎でリサイタルを開催している。
地方で普段聴けない曲も取り上げるというコンセプトで、今回はドビュッシーの珍しい曲や黛敏郎・ショスタコーヴィチなどをプロクラムに登場させた。
感想
ドビュッシー/チェロとピアノのためのノクターンとスケルツォ
初めて聴く曲。「ノクターンとスケルツォ」といっても、ノクターン部分の楽譜は見つかっていないそうです。普段聴かない珍しい曲。3拍子の軽快な曲で、フランスのおかしみのようなものを感じます。
フォーレ/エレジー
チェロの重要なレパートリーの大名曲。チェロ弾きなら誰もが一度は弾いてみたいと思う曲です。前半の沈痛な哀歌をチェロが歌い上げます。序奏のピアノの和音、フォルテでしっかり出て減衰。とてもよかったですね。
中間部は昔を思い出すような優しげな旋律をまずピアノ続いてチェロが奏します。ピアノは左手がしっかり出てよかったし、チェロの柔らかい音は本当にすてきです。
チェロの速い動きがあり、上昇して冒頭の旋律をオクターブ高く奏するクライマックスはまさに鳥肌ものでした。
黛敏郎/BUNRAKU(チェロ独奏)
文楽の三味線と義太夫節の両方を1台のチェロで表現した曲。弦を強く引いて指板に当てて「バチン」という音を立てる「バルトークピチカート」が三味線のバチでの奏法を模倣しています。アルコ(弓弾き)で義太夫節を表現。かなりの高度なテクニックを要する曲だとわかります。見事に聴かせてくれました。
黛を取り上げたのは、彼がパリ音楽院に留学していた点からです。
ショパン/英雄ポロネーズ(ピアノ独奏)
人口に膾炙したショパンの名曲。力強くキラキラした音の粒が飛び散るような印象です。中間部のくり返される左手が大好きですが、井原さんの左手も頼もしい動きですばらしかった。
ショスタコーヴィチ/チェロソナタ
休憩をはさんで後半はメインの大曲です。ショスタコーヴィチとフランスの関係を調べてみると、亡くなる年にフランス芸術アカデミー名誉会員に選ばれています。
一聴印象的なのは2楽章です。激しくチェロが上下動する冒頭はいつまでも記憶に残ります。中間部ではさらに視覚的にも効果抜群の、フラジオレットのグリッサンドがこれでもかと登場します。
ストラヴィンスキーは火の鳥で、このフラジオのグリッサンドをゆっくり使いましたが、ショスタコは激しく上下動するグリッサンド。目に焼き付きますねえ。
全4楽章を見事に弾き切って、万雷の拍手です。
ぜひ来年も、長崎ではなかなか聞くことができない曲を生で聴かせてほしいと思います。
アンコールは定番のサンサーンス「白鳥」で優雅に締めくくりました。すばらしい!
やはり生の演奏に勝るものはなし。長崎で生のクラシック演奏が少ないのは本当に残念です。今年は県外にコンサートを求めて遠征してます。9月はアクロスでのロンドン響行きます。ユジャ・ワンのラフマニノフに「巨人」楽しみです。
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