チョン・ビョンギル監督作品「悪女」稀代のヒロインアクション。何も言わず見るべし!

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チョン・ビョンギル監督作品「悪女」(AmazonPrime)を観ました。

samon
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結論から言うと、とんでもないアクション映画の傑作です。驚きのカメラワーク、愛憎のストーリー、そして非常に美しい花嫁のスナイパー姿。これは、大オススメです。

冒頭から、一人称視点のカメラが追いかける、殺戮また殺戮のシーン。まるで、あのコミック「あずみ」の100人斬りを思い起こさせる、怒りに満ちあふれた斬りっぷりです。

敵は次々に現れますが、狭い通路なので、一人ずつ襲ってきます。しかし、通路を抜けたジムでは、広い空間となり、同時に複数を相手にします。突然女が画面に現れたかと思うと、それは一人称視点で見ていた主人公スクヒが鏡に映った姿です。彼女は顔面を鏡にぶち当てられての登場なのです。驚きです。

この細長い廊下での殺戮シーンは、パク・チャヌク監督作品「オールドボーイ」を思い出させます。

スクヒの姿が現れたところから、カメラは三人称視点となり、彼女と男どものアクションはこれでもかと続いていくのです。もうこれは映画史に残る冒頭シーンではないでしょうか。完全に私たちは映画の世界に強烈に引きずり込まれてしまいます。

動の後の「静」のパート

冒頭の衝撃の7分の後、スクヒは国家情報院にとらえられ,国家の刺客として再教育されます。多くの女性が教育されている情報員の様子がおもしろい。料理、バレエ、演劇など殺人技術以外が教育されているのが微笑ましいのです。

そして、スクヒを監視するための偽の愛と結婚。しかし、情報員の職員のヒョンスは本当にスクヒを愛してしまうという、ラブロマンスが挟まってきます。

冒頭のすさまじい「動」の後の「静」がこの映画の深みを増している気がします。

スクヒとヒョンスの結婚式の当日に、殺人の指令が下り、スクヒは美しい花嫁衣装のまま、スナイパーとして、標的を狙います。その長く真っ白なロングドレスでのスナイプシーンの美しいこと。まことに絵になっています。

これは、リュック・ベッソンの「ニキータ」へのオマージュと言うことです。監督が影響を受けた作品が「ニキータ」。

さて、冷静無比なスクヒが標的を外してしまいます。なぜなら、標的が死んだと思っていたアジシ(おじさん)と慕い愛した、育ての親のジュンサンだったから。

かつてスクヒとジュンサンは愛し合い、結婚し、娘のウネを宿すことにもなるのです。しかし、ジュンサンは惨殺され、それを信じたスクヒは冒頭の100人斬りへと殴り込んでいったと言うわけです。

ところがジュンサンは生きていた。ジュンサンへの憎しみと愛、そしてヒョンスへの純愛、複雑な恋愛感情が、単純なアクション映画で終わらせない多重レイヤー感を醸していきます。

再びラストの壮絶なアクションへ

ジュンサンにヒョンスと愛娘ウネをも殺されてしまったスクヒの憎しみは頂点に達し、ラストの壮絶なアクションへと連結していきます。

この大きく言うと「動」→「静」→「動」の3幕設定が実に見事です。

最後の「動」は、スクヒとジュンサンの直接対決で幕を開けます。匕首同士の対決は建物のフロアから、窓の外に続き、不思議な建物の壁面空間へ続きます。もはや人間業でなく、スパイダーマンさながらに、重力を無視した対決がもうやりたい放題という感じです。

車の上に落下する二人。やっと重力が戻ってきました。ジュンサンは仲間とバスに乗り込み逃げようとします。スクヒはそれを追いますが、走ってきた乗用車にはねられます。

不死身のスクヒは、その乗用車に乗り込み、割れたフロントガラスを斧で外に飛ばし、車内にあったペットボトルをアクセルペダルにかませて、アクセル全開にすると、ボンネットの上に移動し、片手でハンドルを操作しながら、ジュンサンのバスを全速力で追います。

このシチュエーションには驚き以外にありません。カメラはこの様子を見事にとらえています。しかし、夜の場面の故に画面は暗く見にくく感じはします。細部の視認性を落とし、リアリティを増すための夜の設定だと考えられます。周到な設計です。

バスに追いつき、バスに飛び移り、バスの中に飛び込む。もう見る者は息を飲んで凝視するだけです。その後続くすさまじいシーンは、ぜひ自分の目で確かめてください。

もはやスクヒはまるでターミネーターのごとき「悪女」と化し、すべてを断ち切るが如く暴れまくります。そしてエンディングの悪女の不敵で悲しい微笑みと笑い声が私たちの心にいつまでも残るのです。

samon
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書いているうちに、私も興奮してきて、ネタバレしまくりましたが、どんなに文章で記しても、この映像の衝撃に勝てるわけもありません。女性を主人公とした衝撃のアクション傑作「悪女」ぜひ御覧ください。AmazonPrimeにて吹き替え版が無料で観られますよ。超オススメの逸品!

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