ベートーベンの生誕250年の記念の年であったが、感染症のためにコンサートはことごとく無くなっていった。その1年も終わろうとする中、ラストでNHKが猛ダッシュをかけている。日曜日のEテレでは「名手によるべートーべン」と題して3つの素晴らしい演奏が放送された。
一つはコロナ禍の中で行われた、マルタ・アルゲリッチの独奏による、ピアノ協奏曲第1番だ。指揮は、現役最高齢の指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットだ。90歳越の指揮者である。観客はマスクを付け、演奏後にソリストと指揮者は肘をつきあわせて握手をしたからコロナ禍のさなかに間違いは無い。アルゲリッチはやせて若い頃の精悍さが戻ったようだった。そのピアニズムのすばらしさは、私の筆力では表し得ない。音楽を完全に手中にした、自在なテンポ・音色。1番ってこんな曲だったと唖然とした。
ブロムシュテットも年を感じさせない指揮ぶりで、ルツッエルン祝祭オケを歌わせていた。90何歳なのですぞ。すごいの一言だ。自分の90歳の姿って想像しても、ああは絶対なってないだろうな。せめても散歩くらいできる足でいたい。ああ、情けない。次の演奏がまたすごいんだ。ムター・ヨーヨーマ・バレンボイムによる三重協奏曲だ。この話はまた後日にでも。
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