スピリット・オブ・チックコリアバンドのコンサートに参加!鉄壁のドラムスを聴かせるスティーブ・ガッドとともにチックの魂を感じる

JAZZ
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samon
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この夏一番の楽しみにしていたのがこのコンサート。世界のレジェンド「スティーブ・ガット」が大村にやってくるのだ。御年77歳の彼のプレイを聴けるチャンスは、今後そうそうあるとは思えません。しかも、演奏される曲はチック・コリアのトリビュート。8月9日の長崎原爆の夜、祈りの音楽ともなるコンサートの幕が開きます。

パーソネル

  • スティーブ・ガッド(ドラムス)
  • ミカ・ストルツマン(マリンバ)
  • リチャード・ストルツマン(クラリネット)
  • 井上陽介(ベース)
  • 塩谷哲(ピアノ)

2022.8.9ナガサキ

1945.8.9 AM11:02
長崎市に原子爆弾が投下され、7万人以上が亡くなったという忘れてはいけない日です。それから77年。PM18:30に同じアメリカから、素晴らしい音楽の贈り物が届けられました。

2021年に79歳で急逝したチック・コリアのゆかりの人たちが、彼の音楽の魂を継承し復活させるべくこの「スピリット・オブ・チック・コリア・バンド」が動き出しました。

特に親交の深かった、日本人のミカ・ストルツマンとスティーブ・ガッドが中心となり、上のアルバムをリリースしました。

今回のツアーは、ほとんどこのアルバムの中の曲が演奏されました。

コンサート

私の席は中央の前から4番目。プレーヤーの顔がはっきり見える最高の席です。一般発売初日に朝からパソコンの前で頑張ってよかった。

最初にミカさんが登場し、御挨拶されるとともに、チック・コリアの愛妻ゲイル・モラン・コリアさんからのメッセージを読み上げてくれました。チックを最後まで看取った彼女の、やさしさあふれるメッセージです。

コンサートのはじめは、意表をついてクラリネットとピアノのデュオで開幕です。「ジャパニーズワルツ」塩谷のピアノとリチャードのクラリネットの優しく美しい曲です。リチャードはピアノのすぐそばで寄り添うように演奏しました。

クラリネットのリチャードの右手がぶるぶる震えるので、ちょっと心配になりましたが、あれはビブラートなのかなあ?リチャードの音は、艶があるというわけではないのですが、音の終わりの最弱音をとても大切にしているのがよくわかりました。何と御年80歳!

続いて、ピアノとマリンバのデュオで「Armando’s Rhumba」。上記アルバムの1曲目のリズミカルな作品。3曲目にお待ちかねスティーブ・ガッド登場です。ピアノトリオで、曲目はよく分かりませんでしたが、ミカが「バド・パウエル」と言ったような。

スティーブのドラムスは、リズムのはまり具合は当然のこと完璧ですが、ドラム1つ1つの音が非常に明快です。ピアニシモでも、ブラシを使った場合でもとても明るくはっきり聞こえてきます。

中でも、スティックをつかったクラッシュ・シンバルの中央よりを叩くときの、硬質の音のきれいなことといったらありません。頭の中にスコーンと入ってくる金属の音。非常に心地よいのです。

以下前半と後半で次の曲をやったと思います。プログラムとかなかったので、うろ覚えです。

  • Crystal Silence(ピアノとクラリネット)チックが愛妻の為に書いた非常に美しい曲
  • Wigwam(全員)
  • Chick’s Groove(全員)
  • Birthday Song for Mika(マリンバ独奏)

このほかに、後半の始めに冒頭と同じように塩谷のピアノとリチャードのクラリネットで、塩谷のオリジナル曲を演奏しました。

最後に、チック&ガットバンドの曲をピアノトリオで演奏しました。題名は失念しました。ミカは、「スプラッシュするに違いない」と言っていました。この演奏がものすごかった。エンディングを飾るにふさわしいガッドのドラムソロも聴かせてくれて、観客を喜ばせてくれました。

アンコール

コンサートでリチャードは始終おちゃめさを発揮していました。アンコールでも、自分の場所を見失ったようにふらふらして、客を笑わせてくれたあと、ピアノの奥に立って「アランフェス協奏曲第2楽章」の旋律をいきなり吹き出しました。この落差がたまらんですね。

観客がどよめきます。チックを代表する曲「スペイン」がアンコール曲ですね。有名なリフでは、塩谷のピアノはチックのそれよりウエットに感じましたが、それも塩谷の個性でしょう。

アンコール曲は1曲のみでしたが、観客は満足して会場を後にしているようでした。外ではぼんやりと磨りガラスの向こうのような月が出ていました。

私はツアー初日ということで、アンサンブルの熟成は十分でないように感じました。マリンバの音ももっと深みやキレが欲しいなと思いました。そんな中で完璧な演奏をするガッドのプロフェッショナルぶりには驚きました。今後ツアーが進むにつれ、アンサンブルはより強固になり、チックの魂を発露するようになると思います。

samon
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悲しかったのは、コンサート後に誰とも語り合うことができなかったことです。酒を飲みながら話したかったなあ。演奏の喜びをコミュニケートする時間が一番楽しいんだよね。今度は友達をさそって行くことにしよう。そんなことを思いながら、夜の高速道路を一人家路へと車を走らせました。

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