「マッドマックス」のジョージ・ミラー監督の人間ドラマ。市立図書館から借りた名作DVD鑑賞シリーズ第2弾です。「デッドマン・ウォーキング」のスーザン・サランドンがここでも驚異の演技を見せてくれます。素晴らしい映画はいつ見ても心を揺り動かされるんですね。
結論
子どものために親はここまでできるのか!衝撃の作品。ロレンツォの苦しむ姿はつらいですが、感動のラストが待っています。ジョージ・ミラー監督の多様性にも気づかされる必見の作品。
概要・あらすじ
『ロレンツォのオイル/命の詩』(ロレンツォのオイル/いのちのうた、原題:Lorenzo’s Oil)は、1992年のアメリカ映画。ジョージ・ミラー監督。
wikiより引用
難病副腎白質ジストロフィーに悩むひとり息子ロレンツォを助けるため、解決策を必死に探すオドーネ夫妻の実話に基づく物語。
ひとり息子であるロレンツォの難病を治すことの出来る医師がいないと知り、オドーネ夫妻(夫アウグストと妻ミケーラ)は医学的知識がないにもかかわらず、自力で治療法を探すことを決意する。
治療法を見つけ出すため、もはや手の尽くしようがないと信じる医師、科学者、支援団体らと夫妻は衝突する。しかし自らの意志を貫き、医学図書館に通い詰め、動物実験を参照し、世界中の研究者や一流の医学者らに問い合わせ、さらに自ら副腎白質ジストロフィーに関する国際的シンポジウムを組織するに到る。
死に物狂いの努力にかかわらず、息子の様態は日々悪化する。次第に彼らが参加していた支援団体のコーディネーターからも疑念が抱かれる中、彼らは食事療法として特定のオイル(実際にはエルカ酸とオレイン酸のトリグリセリドを1:4の割合で配合したもの)に関する治療法を思いつく。100以上の世界中の会社に問い合わせた結果、適切な方法で蒸留することが出来る定年間近の英国老化学者を探し出す。
同上
監督ジョージ・ミラー
父方のドイツ人と母方のギリシャ人の家系の子としてオーストラリアクイーンズランド州ブリスベンで生まれる。医者を志して医科大学に進学。学生時代に短編映画を制作し映画コンクールに出品したところグランプリを獲得したのがきっかけで、テレビと映画界で働くようになった。短編を数本制作した後、1979年の映画『マッドマックス』で監督・脚本を担当し、長編映画デビュー。『マッドマックス』は、後にシリーズ化され世界的に大ヒットし注目される存在となる。
『マッドマックス』以降は、映画監督以外にもテレビドラマや映画のプロデューサー・脚本家として幅広く活動しており、総合的なプロデューサーとしての役回りが多い。
wikiより引用
「マッドマックス2」が大好きですね。作品範囲が広く、マッドマックスのようなアクション・SFだけでなく、「イーストウイックの魔女たち」ホラーコメディ、「ベイブ」ファミリーコメディ、「ハッピーフィート」フルCGアニメ、そして本作のようなガチの人間ドラマと何でもできる監督です。
近作は「アラビアンナイト/三千年の願い」ではファンタジー恋愛映画を発表。見たかったー。
2024年公開予定の「フュリオサ」は、「マッドマックス/怒りのデスロード」の女戦士フュリオサの若き日を描くスピンオフアクション映画。楽しみですね。絶対劇場で観たいです。
感想
難病に苦しむ子どもの姿とこれほど赤裸々に描き出した映画はあまりないのではないでしょうか。その苦しみの激しさに眼を背けてしまいたくなります。
苦悶シーンの終了時には、苦しみの叫びがエコーを伴って響き渡るので、トラウマ必至です。そんなシーンが何度もやってきます。
子どもからこの演技を引き出し、フィルムに焼き付けたジョージ・ミラーの手腕に震えます。経歴にも医師を目指していたとあるので、医学の知識もあるのでしょうか。最後の救いが無ければ恐ろしい拷問映画です。
わが子の苦しみに正対し、いささかもぶれること無く戦いを挑み続ける夫婦の姿は驚異です。夫をニック・ノルティが、妻をスーザン・サランドンが演じます。
あまりの子どもの苦しみように、雇われていた看護師達は次々に去って行きます。ついには妻の妹すら離れていきます。彼らは自ら去ったというより、妻ミケーラに解雇されケンカ別れのような状態です。病気との闘いを放棄しようとする者にミケーラは容赦がありません。異常ですらあります。
夫のアウグストも異常とも言えるエネルギーです。貿易銀行の職を続けながら、図書館に入り浸って生化学の学習を続けます。彼の異様を許し、協力すらする図書館の職員に感動します。
とにかく突き進んでいくこの夫婦と対立的に描かれるのが、医師達やこの病気の保護者組織を束ねている夫婦です。とにかく慎重で冒険できません。ゆえに遅々として進まない。
彼らの言い分も分からなくはないのですが、この超絶夫婦の前では、頭の固い人間と映ってしまいます。夫婦のオイル探しの試みが、成功裏に終わったからよいのですが、もし失敗して多くの同じ病気の子どもたちを犠牲にしたとしたら・・・。
それでも突き進んでいくこの夫婦に共感するのは、すべての私利私欲を廃除して、ひたすらわが子のために没頭する姿のためでしょう。
ひるがえって、自分はわが子のために何ができているだろうかということを突き付けてくれる作品でもあります。てんで、何もできていませんね。放置、思考停止状態です。いかんです。
立ち上がれ、そして戦え!この映画はそう鼓舞してくれる作品でもあります。できるかな・・・。
衝撃的でした。夫婦の生き様に尻を叩かれた気がします。長崎市立図書館蔵書です。アマプラはレンタルで400円。ぜひとも御覧ください。ジョージ・ミラーの多様性に驚愕間違いなし。
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