映画な1週間の最後を飾るのは、ホアキン・フェニックス主演「ジョーカー」です。母を介護しながらコメディアンを目指すアーサーが、ゴミ袋が山積みのゴッサム・シティの中で、いかにジョーカーになっていくかを描く、実に鬱々とした現代社会の映し鏡。ホアキンの名演はもちろんだが、彼を番組で取り上げ、そして番組の中で彼に射殺されてしまう大物芸人マレー・フランクリンを演じるロバート・デ・ニーロの存在感はすごい。ぱんぱんに太った顔と体から、はじめは自分はデ・ニーロとは全然気づかなかったのだ。さすが、ゴム人間デ・ニーロだ。演技のためなら、レイジングブルのようにがりがりにやせもすれば、アル・カポネのようにパンパンに太り、髪の毛も抜いてしまう。悪の街ゴッサム・シティのロケにはニューヨークのブルックリンが選ばれた、どこまでも高く続く絶望的な階段が印象的だ。この町では、すでに政治も警察も機能していないようだ。コロナ禍の日本。感染者が全国的に急増する中で、この国の政治も思考停止の状態で機能していないようだ。この危機をどう乗り切って行くべきか?バットマンは現れないのだから、さあどうする。
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