
毎年楽しみにしている演奏会。子どもたちのがんばり、そして瀬﨑先生の20周年記念会での演奏ははたして
結論
音楽の力、プロの演奏の凄さを再確認させてくれる瀬崎明日香氏の演奏に感謝
概要
2005年長崎市近郊のヴァイオリン・チェロの指導者等により設立された長崎県南部地域で活動するジュニアオーケストラ。毎年定期演奏会を開催し、(ー)弦楽器を学ぶ子どもたちにオーケストラを体験できる機会を提供し、オランダ ライデン市での公演を通じ子どもたちによる国際交流も実現させたことにより、2021年長崎県地域文化賞を受賞した。
プログラムより引用
感想
市内で唯一のオーケストラ部を有する長崎北高校が冒頭のゲスト演奏。3年生が引退したあとの1・2年生体制での演奏です。1年生は弦楽器を初めて5ヶ月くらいの生徒も多いことが見ているとよくわかります。ディズニーの「アナ雪」と甲子園で吹奏楽が良く演奏するバン・マッコイの「アフリカン・シンフォニー」を元気に演奏しました。
高校や大学で初めて弦楽器に触れた子どもたちが、その後社会人になっても弦楽器を続けて人生を楽しんでくれることを期待します。私もその一人として。それにしても、実質2年半ほどしかない高校の部活動の時間で弦楽器を習得することの大変さを実感します。ゆえに高校のオーケストラは大変でしょう。弦楽器の世界に入った子どもたちが、長いスパンで力量を上げていく視点をもって欲しいと思います。
個人レッスンで弦楽器を小さい頃から学んでいるジュニアオーケストラの演奏は形になっています。メンバーがとても少ないのが残念です。長与町で行われている「弦楽器体験」活動とうまく接続するといいなと思いますが、個人レッスンはお金がかかるものではあります。誰もがとはいかないのが現実。
さあお目当てのゲストソリスト瀬崎明日香さんの登場です。彼女の弾き振りというのがいいですね。音楽をぐんぐんリードしてくれます。今回は大好きなバッハのイ短調のコンチェルト、ビバルディの四季から「秋」が演奏されました。
グリーンのドレスで登場。オーケストラの中央に立って演奏されました。瀬崎さんがコンサートミストレスの方を向いて合図すると見事に一斉にバッハの短調の音楽が始まります。ソロの前の前奏部分から瀬崎先生も一緒に演奏。そしてソロへとつながっていきます。

会場の空気が一変するというのはまさにこのことでしょう。一切の散漫さなく観客の心を集中させてくれます。この大きな変化が心を激しく揺さぶります。来て良かったという気持ちが満ちていきます。眼はもうソリストに釘付けです。
身体全体を自由自在に使って音楽を表現する。これがプロの演奏だ。日々自分の音楽を追究している音楽家の演奏だと強く感じます。その音楽の波に子どもたちの魂も一体となり、集中したオーケストラ演奏を聴かせてくれました。音楽のパワーは確実に伝播するのです。名指揮者の棒が名演奏を引き出すのも同じ事でしょう。
明るいヴィヴァルディの音楽も実に活き活きとしています。秋の実りを喜ぶ農民の表情が目に浮かぶようです。時にソロバイオリンはソロのチェロとの掛け合いになる部分が何度も出てきます。そのときのバイオリンの自由さはどうでしょう。まさに天衣無縫。ソロのチェロもしっかりとついていきました。
第2楽章は通して全音符だけの音楽のようでおもしろい。激しくリズムが繰り出される1・3楽章との対比がヴィヴァルディの工夫ですね。静謐な2楽章に引きこまれます。

万雷の拍手にアンコール演奏が行われました。瀬崎先生がどうしても紹介したいという女の子がギターをかかえて登場。小学生?彼女とのデュオが始まります。曲はピアソラ。静動が次々に変化するタンゴ。ギターの彼女は音は少し小さいものの、そのリズム感・音楽を身体全体で表現するその才はビシビシ感じられます。
瀬崎先生のピアソラはもう驚愕そのもののテクニックの連続です。会場を音楽のるつぼに変化させた瀬崎先生のステージに音楽の凄さをまざまざと感じました。だから音楽を聴くのはやめられない。
最後のステージはジュニアと高校生が合同での演奏。長崎の「軍艦島」を舞台とした野木亜紀子脚本のドラマ「海に沈むダイアモンド」の音楽を作曲者の許可を得ての特別演奏。佐藤直紀は雄大なメロディックな劇伴を作ると認識していますが、今回の音楽はミニマムミュージックを感じました。
次の長崎の音楽を担ってくれる若き人々の活動を応援しています。

瀬崎先生の凄さを再確認する演奏でした。音楽の力も改めて感じました。これからも音楽を聴き続けたいし、自分での演奏も続けていきたいという音楽愛をこれまた確認することができました。ありがたい。
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