
NHK-BSお昼13:00からの映画劇場で放映。久しぶりに観てみると
結論
最もおもしろい続編映画として名高い本作。前作と大きく方向性を変えたストーリー同様、細部も変更が加えられまさにキャメロン映画として見事に成立している
概要・あらすじ
ホラー要素が強かった前作『エイリアン』から打って変わって、当時『ターミネーター』で一躍名を馳せたジェームズ・キャメロンを脚本・監督に迎え、複数名詞である原題が示す通り、無数に繁殖したエイリアンと未来兵器に身を固めた兵士との戦いを描くアクション映画として製作された。
無数に繁殖したエイリアンと遭遇するが、製作当時はCG技術がまだ未発達だったためすべて実写で制作されており、エイリアンが画面に一度に登場する数は数体である。それを、動体探知機が何十体もいるように反応する画面を表示したり、カット割りによって多数のエイリアンがいるように見えるように工夫して製作された。
wikiより引用
宇宙貨物船ノストロモ号での惨劇から57年後。唯一の生存者である航海士リプリーが、催眠カプセルの中で眠りながら宇宙を漂っているところを発見された。目を覚ました彼女は、かつて自分たちがエイリアンと遭遇した星が現在は植民惑星となっていることを知り、がく然とする。リプリーがエイリアンの危険性を訴える中、植民惑星との通信が突如として途絶えてしまう。原因調査を依頼されたリプリーは、海兵隊とともに現地へ向かうが……。
ネットより引用
感想
冒頭のクレジットに「Jキャメロン・Dガイラー・Wヒル」連名されているので3人で脚本を書いたのかと思いましたが、wikiによれば、この3人は「原案」であり、脚本はキャメロン単独になっています。思うに、ストーリーの流れを3人が話し合いながら決めて、具体の脚本をキャメロンがやったということでしょうか。
黒澤の名作群が、複数の人間が旅館に缶詰になって紡ぎ出された脚本に支えられているのは周知の事実。複数協力体制は否定するものではありません。
名を連ねているウォルター・ヒルは「ストリート・オブ・ファイアー」や「48時間」などおもしろい映画を作る監督との認識ですが、デビューは脚本家(1972年「殺人者のラブソングを」「ゲッタウェイ」)です。彼の関わりが本作の成功を支えることになったとも思われます。
ところが賛否が分かれる次作の「エイリアン3」で脚本はヒルとガイラーともう一人の3人体制で担当しているのです。私自身坊主頭のリプリー以外女性が出てこない「エイリアン3」はどうも好きになれません。
つまり脚本の成立過程と監督が創り上げる映画作品がおもしろくなるかどうかは実に複雑怪奇であると思います。

さてタイトル提示で「AILENS」の「I」の字がメカニックぽく輝いて、本作のメカオタク的展開を暗示します。宇宙海兵隊がLV426に出発する際の宇宙船デザインはシド・ミード。前作同様に、乗組員のスリープ中の宇宙船内をカメラがなめていきますが、そこにはメカの数々が映されていきます。
後に「エイリアン ロムスル」でも活躍する赤い残弾表示の「パルスライフル」がかかった棚。惑星降下戦闘機や黄色い警告カラーが目立つ役割もわからない機械の数々。
印象深い女戦士バスケスが操作する身体に固定された重機関銃は「M56スマートガン」非常に重そうな兵器ですが、身体に接続されて軽々と動かせることがバスケスの操作練習でよくわかります。

リプリーがエイリアンの巣に突入させる重装甲車「アリゲーター」は前述の降下戦闘機とともに表面がつるんとしたデザインです。スターウォーズ以降の宇宙船表面の複雑な形状とは対称的な何にもないツルリンさが印象的です。リプリーが仕事に使うパワードスーツもいらない凸凹のない機能的なデザインとなっていました。



前作の有機的生物的なぬめりデザインと大きく変えてきたことが、ハイパースリープの機械のいかついデザインが決定的に象徴しています。
そういえばエイリアンの頭部デザインは第1作での金属的かつツルリとした生物的なものから、凸凹の多一種彫刻的で黒い石的なものになっています。これはキャメロンのビジョンにあわせてエフェクト・アーティストのスタン・ウィンストンのチームがアレンジを加えているとのことです。好みは分かれるでしょうね。私は1作推し。

youtubeで削除シーンを見たことがあります。LV426テラフォーミング中のコントロールブリッジに多くの人が働いていたり、その家族の子どもが「ウェイランドユタニ」ロゴ入りの三輪車に乗って遊んだりしているいるシーン。カットして正解ですね。全滅させられる残酷さを強調するだけですから。
もう一つの削除シーンは、ニュートの家族がエイリアンの宇宙船に行って、父親が寄生されてしまう。キャメロンらしいトイ然とした乗り物は好ましいし、宇宙船の美しさはやはり最高ですが、父母が宇宙船に侵入する部分は1作の女性器的美しさとは大違いの、金属の裂け目のような一般的なビジョンでがっかりです。耳に付くニュートの叫び声もちょっとねえ。カットして正解。

長くなりそうなのでこの辺にします。まあ最後まで完璧におもしろいのはご存知のとおり。最もおもしろい続編のトップにあげられるのも理解できます。ぜひ御覧ください。
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