リンカーン・ライムシリーズは大好きですが、その第1冊「ボーン・コレクター」は未読でした。映画化された作品も未見。まずは、小説を開くことに。いつも通りのどんでん返しの連続はそのままに、主人公たちの心情の彫りこみが素晴らしい。
結論
四肢麻痺の真の「安楽椅子探偵」リンカーン・ライムシリーズの嚆矢。鑑識の天才ライムの苦しみ、美貌の巡査アメリアの悲しみが物語を単なるエンタメに終わらせない名作に。ハラハラドキドキ、どんでん返しはもちろんで、小説を読む楽しみを十分に満喫させてくれる。超おすすめ。
概要とあらすじ
四肢麻痺の元科学捜査官リンカーン・ライムと元モデルの女性警察官アメリア・サックスが主人公のシリーズの第1作で、ネロ・ウルフ賞受賞作[1]。日本では、週刊文春ミステリーベスト10で第1位(20世紀ベストで第22位[2])、このミステリーがすごい!で第2位、2012年に選出された東西ミステリーベスト100で第22位となった。
1999年にデンゼル・ワシントン、アンジェリーナ・ジョリー主演で同名タイトルで映画化された[3][4]。
wikiより引用
不審な通報を受け、アメリア・サックス巡査が通報のあった地域周辺を調べていると、地面から突き出た肉を削がれた指を発見し、掘り返すと男の生き埋め死体があった。現場には奇妙な痕跡がいくつも残され、捜査主任のロン・セリットーは、かつて捜査中の事故で脊髄を損傷し四肢麻痺となった敏腕科学捜査官リンカーン・ライムに助言を求める。
事故以来、生きることに絶望し尊厳死を望んでいたリンカーンだったが、捜査資料を読むうちに犯人が残した次の犯行予告のメッセージに気が付き、仕方なく自殺を延期することにする。リンカーンは科学捜査の素人であるアメリアに現場の鑑識作業の協力を求め、時には衝突しながらも残忍な殺人鬼「ボーン・コレクター」の正体に迫っていく。
同上
感想
首から上と片方の薬指しか動かせなくなった絶望感からライムが尊厳死を望み、自死の寸前までいく場面は衝撃的でした。
彼に生きる希望をもたらしたのは、万年巡査の娘と揶揄されていた、やはり巡査のアメリア・サックスでした。もとモデルの美貌と父譲りの車好きスピード好きという異色のキャラです。
ボーン・コレクターの犯罪現場に出くわし、現場保全を最優先したことで、ライムの信頼を得ます。そしてかけがえのないパートナーとなる顛末も興味深いです。
今回のヴィランであるボーン・コレクターの犯罪はけっこうグロいシーンも満載です。
片手だけを突き出して、生き埋めにする。高音の蒸気が定期的に噴出するところに手錠で拘束。苛性ソーダのドラム缶に半身を浸す。ネズミに肉をかじらせる。猛犬に肉をかじらせる等々。
それらの目的は、遺体を白骨化させることです。肉体に関心がなく、ひたすら骨に偏愛するがゆえの「ボーン・コレクター」です。
ライムの苦しみと同じように、アメリアの苦しみも描かれています。美しく生まれたこと自体が得だと思うのですが、その負の部分を描くことで物語に深みをもたらしています。
主要メンバーのキャラクターが明確に示され、彼らがチームとしてその後のシリーズを形成していきますが、その最初の一歩から本作にて完成されている感があります。これは驚きです。
ディーバーの中に、確たる構築力あってのことだと思います。ライムの犯人のプロファイル表のように、それぞれのキャラがはっきりとイメージされているのでしょうね。
ジェフリー・ディーヴァー
ジェフリー・ディーヴァー(Jeffery Deaver, 1950年5月6日 – )は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ郊外出身の小説家。ミステリーおよび犯罪小説で知られている。
ニューヨーク・タイムズやロンドン・タイムズなどではベストセラー作家リストの常連で、25か国語に訳され150カ国で読まれている。
父親は広告コピーライター、専業主婦の母親、実妹ジュリー・R・ディーヴァーは青少年向け小説の作家である。
ミズーリ大学においてジャーナリズムで学士号を取得後、雑誌記者となるものの、仕事上の必要性からフォーダム大学のロースクールへ入学する。卒業後は、ウォール・ストリートの大手法律事務所で弁護士として勤務する。その長い通勤時間中、自分の好きなサスペンス小説を書き始め、1990年、40歳の時、専業作家となる。
WIKIより引用
リンカーン・ライムシリーズは最新作「真夜中の密室」(2021)まで15冊が刊行されています。全て池田真紀子さんの訳で日本語版が出版中。
ライムの宿敵「ウォッチメイカー」で初登場した人間うそ発見器キャサリン・ダンスは独自でシリーズ化し、4作が刊行されています。全て池田真紀子さんの訳で発売されています。
デンゼル・ワシントンのライム、アンジェリーナ・ジョリーのアメリアでの映画版「ボーン・コレクター」ぜひ観たいです。アマゾンプライムでHDで400円レンタルです。小説では、ライムシリーズ第2作の「コフィンダンサー」のハードカバーが積読本化しているので、開いてみたいと思います。
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