シン・ウルトラマン 大満足のアクションCGシーン ちょっと?の人間たちのドラマシーン 賛否両論をまきおこす問題作

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庵野秀明総監修「シン・ウルトラマン」やっと観てきました。

samon
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平日の11時台でしたので、観客は10人以下だったと思います。ゆっくりと観賞できました。ユナイテッドシネマ長崎7番スクリーン。定員167人と小さめですが、前の方で視野一杯の画面で楽しんできました。ネタバレする部分もあるかも。まだ、観ていない方御注意です。

プレゼント

7番スクリーン入り口では、大ヒット記念のプレゼントが配られました。

真っ黒の絵はがきです。中央のマークわかりますか?「私と一緒に・・・」の「私」とは?

おっと、絵はがきではありませんでした。メフィラス星人の名刺です。慇懃で日本語が大好きなメフィラス星人らしいメッセージもそえてあります。ついでに言えば、メフィラス星人は「居酒屋」と「日本酒」も大好きなようです。親近感がもてます。ただしそれが彼の本心かどうかは不明ですが。

特撮いやCGの秀逸さ

ウルトラQ怪獣たちの懐かしき映像から、すんなりと禍威獣(かいじゅう)が集まる日本が舞台の映画の世界に進んでいい感じです。

CGでありながら、昔の着ぐるみ戦の味もあって違和感はありません。ネロンガ戦、ガボラ戦とも楽しめました。特にガボラのドリル頭部もですが、ツインドリル尾部がいいです。オリジナル「ガボラ」は尻尾は1つで、ドリル形状でもないです。

これらのドリル形状は、庵野氏のお気に入りなのでしょう。「エヴァ」の中でもよく出てくるように思います。

ガボラのドリル内の顔も大きく異なります。使徒のような顔です。ここらにも庵野氏のデザインは生きていますね。ガボラに関してはかなり庵野化されたものとなっています。

ドリル形状のものは、少年の感じるかっこよさなのでしょう。サンダーバードしかり、ウルトラ警備隊の「マグマライザー」しかり、ノーチラス号の先端もドリルっぽいですね。庵野氏がドリルに感じたかっこよさは、多くの少年たちが感じたことでしょう。

CGのウルトラマンの動きはことに自然であり、CGの進化を感じさせます。モーションキャプチャには、かつての着ぐるみウルトラマンで活躍された古谷敏の名前が先頭にあります。自主映画で自らウルトラマンを演じた庵野秀明の名前があるのももちろんうなづけます。庵野氏は自分でウルトラマンを演じずにはいられないでしょうから。

長澤まさみの無駄遣い?

このようなCGアクションシーンのすばらしさに比して、人間たちのドラマは何とも陳腐です。特に長澤まさみ扮する浅見弘子のアナリストとしての活躍はほとんど描かれません。提出された報告には「正体不明」のみで、それを上司は「仕事が速く、思い切りもいい」などと評価しますが、観る側にすれば浅見の薄っぺらさはどうにもなりません。

おまけに、ザラブ星人の悪巧みでは、スカートの長澤を下から仰ぎ見るようなセクハラ的映像との批判もされているようです。ちとかわいそうにも思えてきます。

他の禍特対メンバーもしかり。あまり知性が感じられません。唯一有岡大貴扮する物理学者「滝」が終盤活躍しますが、子供っぽい顔故に嘘くさい感はいなめません。

さらに、キャストの頭髪が切れるほどのアップや実相寺昭雄アングルへのオマージュなのか、手前に遮蔽物を置いて、その奥に小さく人物を入れるような特殊アングルが多いので、キャストのセリフに集中できなかったりします。

もはやこれは人間の物語で無く、外星人や禍威獣たちの映画なんだと割り切ると逆に見やすいかも知れません。

脚本

公開前に、予告編や特報の画像から、さまざまなストーリーの予測がされていました。

「ニセウルトラマンや巨大化するフジ隊員」は出ないだろうとか「ゾフィーは出さないだろう」など。そんなある種、「予想できないような、面白いストーリーにしてほしい」という私たちの希望的観測は、庵野氏によって軽々と打ち砕かれ、過去のウルトラマンをトレースする脚本に逆に驚かされました。

庵野氏は、成田 亨(なりた とおる)のウルトラマンのオリジナルデザインを取り入れるなど、ストーリー展開も含めて、過去の偉大なウルトラマンの遺産を、現代の技術でアップデートすることをやりたかったのだろうと思います。

それは、オリジナルの脚本を大きな武器にした「平成ガメラ」シリーズと大きく異なる部分でしょう。

メフィラス

俳優たちのドラマが貧困な中、唯一の収穫が山本耕史演じるメフィラスです。不気味な佇まいが非常に印象的で、十分に準備を重ねて、その上で人間を懐柔していく恐ろしさを表現しています。メフィラスの名前の由来「メフィストフェレス=悪魔」どおりに、悪魔というのは静かに人間の心をむしばんでいくものなのでしょう。

中でも居酒屋のシーンは白眉で、外星人が日本酒やつまみを心から味わっているのが怖いですね。人類の文化の一端をすでに懐柔している自信を感じさせます。

同じ外星人であるウルトラマンの斎藤工はうまそうには酒を飲んでいませんもの。つまみも食べなかったような。ウルトラマン斎藤工が何かを食べる摂取するシーンは、居酒屋以外皆無ではないかな?

メフィラスは正体を現して、ついにウルトラマンとの対決となります。ところが、「やばいのが来たので、引き上げる」とさっさと消えてしまいます。

まずい状況に自分を置かない、危険な状況からはすっと逃げて戦いを避ける、このような態度を、岡田斗司夫氏は、武道家・哲学者の内田樹氏とのやりとりの例を出して、「武道家の態度」だと言っていました。それが、相手に嫌われずうまくやってくこつだと。

メフィラスはこの武道家の所作を体現したのでしょうか。面白い展開でした。

samon
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まあ、いろいろと不満な点も感じる作品だと思いますが、庵野氏の老後の楽しみを一緒におもしろがるのも一興です。さあ、あなたならどう見ますか?まだの方は、ぜひ劇場に足を運んでみてください。予告編ではついに「シン・仮面ライダー」の映像も出ましたよ。浜辺美波ちゃんがキャスティングされていました。これまた楽しみですね。

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