
長崎OMURA室内合奏団メンバーの若きチェリスト村田さんのソロリサイタル。難曲バッハの6番に果敢に挑みます。
結論
音色・テクニックともに大きく成長する村田の演奏に魅了されました。どんどん大きくなってほしい大事な長崎の演奏家です。
概要
長崎市出身。9歳よりチェロを始める。活水高校普通科音楽コース、京都市立芸術大学音楽部を卒業。高校在学中にボストン室内合奏団と。2019年に長崎交響楽団と共演。第48回長崎県新人演奏会最優秀賞、コンサート出演。これまでにチェロを下田直子、宮田浩久、上村昇、向山佳絵子の各氏に師事。室内楽を上野真、上森祥平、田村響の各氏に師事。長崎OMURA室内合奏団チェロ奏者。長崎県音楽連盟運営委員。長崎県を中心に演奏活動を行いながら、後進の指導も行っている。
コンサートチラシより引用
感想
バッハ 無伴奏チェロ組曲 2番・6番
ニ短調の2番をプログラムとして取り上げ、カップリングを探していたら6番がニ長調だったので採用したという奏者のお話でした。プログラミングに工夫をしていることがわかります。
しかし、6番は非常に難曲なので勇気のいる選択です。それをやってのける若さがいいですね。若いうちはとにかくチャレンジするのはすばらしい学びにつながると思います。
さて、2番は鬱々とした印象がありましたが、彼女の演奏はアルマンド以降の舞曲部分でそのダンスの部分がよく強調され、颯爽としており、この曲を「舞曲だ」と再認識させてくれる新鮮さがありました。
またリピート時に装飾を加えることで変化もつけられており、飽きずに聴くことができました。
さあ、6番です。本人の緊張感が伝ってくるようです。しかし、流れ出してみれば彼女のバッハになっている。冒頭のfからpへ変化する繰り返しのフレーズ時に少しの間を置く演奏はオリジナリティがありました。どんどん進んでいくだけでなく、丁寧に音を紡いでいく意識を感じました。

カサド 無伴奏チェロ組曲 全曲
3曲からなる組曲は、スペインカタルーニャ地方の旋律やスパニッシュなダンスに彩られとても魅力的です。舞曲と言う点でバッハの曲にもちろん通じています。いやバッハの曲にカサドが影響を受けたという方が正しいでしょうか。
3曲からなる組曲はいずれも技術的な難易度が高く、実際の演奏を目の当たりにするとこれを実感することができます。村田は困難さを感じさせることの無い技術で演奏し、安心して聴いていることができました。
特に第1曲目のフラジオレットを多用した部分はおもしろく、バイオリンではよく見かけるフラジオレット部分の移動(例えば人差し指で弦を押さえ、伸ばした小指でフラジオレットを奏する)をチェロで行います。チェロの場合、親指で弦を押さえて他の指でフラジオレット部分を弾きますが、バイオリンより格段にその幅は大きく、しかも指板を上に行くに従い、幅の変化が大きく出るので難易度は高くなるように思われます。見た目にも迫力抜群のテクニックとなってました。
村田の演奏はこれまでも何度か聴いてきましたが、張りと伸びのある音色に成長を感じます。それが自信にもつながり落ち着いた堂々とした演奏ぶりが観客を魅了していました。
今後とも合奏団演奏だけに終始するのでなく、独自のソロのリサイタルを開催してほしいと望みます。それが自分を磨いていくことにつながると思います。

生で聴く音楽は本当に至福です。令和7年度も積極的に演奏会に足を運びたいと思います。そして、長崎で演奏したいと音楽家が思うようないい音のホールの1日も早い完成を望みます。
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