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お気に入りのBS番組。驚く名演奏に出会いました。
結論
母となり「離見の見」を得た、最強の芸術家神尾の技に打ちのめされます。必見必聴。
概要
2007年第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝。ロストロポーヴィチ、インバル、アシュケナージ、メータなどの指揮者と共演、国際的に活躍するバイオリニスト。 【神尾真由子(バイオリン)】2007年第13回チャイコフスキー国際コンクールで優勝。ロストロポーヴィチ、インバル、アシュケナージ、メータなどの指揮者と共演、国際的に活躍する【田村響(ピアノ)】2007年ロン・ティボー国際コンクールで第1位。オーケストラとの共演のほか、室内楽でも活躍【曲目】チガーヌ(ラヴェル)妖精の踊り(バッツィーニ)ほか【収録】2020年11月13日文京シビックホール 大ホール
ネットより引用
感想
コンサートはピアノソロの「月の光」で始まりましたが、それは省きましょう。
ラヴェルの「ツィガーヌ」はもう最初の1音から迫力と緊迫感に充ち満ちています。バイオリンソロがその後ずっと続きますが、このロマの音楽が自在に緊迫感を保ちながら奏されていきます。ロマの人々の悲哀感もたっぷり表現されます。
ピアノが入った後は、ダンサブルなロマの熱情をとんでもない超絶技法で変幻自在のテンポの変化を伴いながら現していく神尾の技量に驚くばかりです。
プロコフィエフの第2バイオリンソナタは、神尾がインタビューでも述べていたように「フランス的」なしゃれた軽い出だしですが、その後の強奏からはゴリゴリのプロコフィエフ感ロシア感を感じさせます。
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アンコールの超絶技法がまたすごかった。すごかったしか感想が出ないほど圧倒的です。バッチーニ作曲の「妖精の踊り」特に左手のピチカートの連続が息もつかせぬほどで、楽譜を見ると開放弦とかで無く音階なので、どうやって演奏するの?という感じ。
番組途中に興味深い神尾のインタビューが入ります。子どもを出産、育児をしている彼女。これまでバイオリンの演奏が自分にとって最も重要なものであったが、それ以上に大切なもの(子ども)ができて、バイオリン演奏が余裕をもって捉えられるようになったというようなことを話します。
メタ的に自己の演奏を見ることができるようになったと私は理解しました。これは能の世界の「離見の見」のように、自己満足に陥らず、自分の演奏を客観的に見れるようになった境地なのでしょう。
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母になった今後の活躍も目が離せないアーティストです。NHKクラシック倶楽部は再放送をよくやるのでチャンスあればぜひ御覧ください。驚愕必至。
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