カンヌ映画祭最高賞受賞「落下の解剖学」迫真の法廷劇 あぶり出される事実 そしていったい何が真実なのか

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samon
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セントラル劇場火曜日の12:20の回で観てきました。10人以上はいたでしょう。でも最前列中央のリクライニングで貸し切り気分で鑑賞しました。さて、話題のこの作品は。

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結論

スリリングな法廷シーンは150分の長尺を感じさせない。真実とは何かを考えさせる充実の映画体験がまっている。

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概要・あらすじ

この映画は、2023年5月21日に第76回カンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映され、パルム・ドールとパルム・ドッグ賞を受賞しました。また、第81回ゴールデン・グローブ賞では作品賞と非英語作品賞の2部門を受賞しています。2024年2月23日に劇場公開され、第96回アカデミー賞では脚本賞を受賞しています。

2023年のフランス映画『落下の解剖学』は、雪深い山荘で男が転落死するところから始まるサスペンス映画です。当初は事故と思われていましたが、現場に居合わせた視覚障がいを持つ11歳の息子だけが証人となり、次第にベストセラー作家の妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人容疑が向けられることになります。

生成AI

監督は、長篇4作目の本作で見事カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞したジュスティーヌ・トリエ。主人公サンドラ役には、本年度映画賞レース主演女優賞の最有力候補となっているザンドラ・ヒュラー。人気作家としての知的なポーカーフェイスの下で、底なしの冷酷さと自我を爆発させる圧巻の演技で、観客を一気に疑心暗鬼の渦へと引きずりこむ。フランスで瞬く間に動員100万人越の大ヒットを記録し、カンヌで審査員長を務めた鬼才リューベン・オストルンド監督から「強烈な体験だった」と破格の称賛を得たヒューマンサスペンスが、いよいよ日本上陸。

チラシより
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感想

間違いばかりの稚拙なピアノ演奏。止まっては進む。イライラ感が感じられる。曲はアルベニスの「アストゥーリアス」ギターのつま弾きを模したアルペジオとその間に挟まる和音のストロークは逆にギターに編曲されて演奏されることもあります。

家族の写真とこのピアノ演奏で映画冒頭から、この映画は家族問題の不安描いていることを明確に示唆します。

この映画で使われる音楽はアルベニスともう1曲だけ。ショパンの前奏曲の中からの1曲。母親と息子が連弾し(これももちろん稚拙でゆっくり)、母親がいないときに息子が一人で旋律をたどるシーンもあります。この美しい前奏曲の意味は一見母子の愛情関係に見えるが、とても不安で疑心暗鬼に満ちています。

この映画全体が不安と疑心暗鬼の世界です。

「藪の中」以上に多くの証言者が出てきてそれぞれの立場から話されることに観る者は引っ張り回されます。そして、あの10分にもおよぶ夫婦げんかの音そして映像再び音。この夫婦の底知れぬ闇があらわになります。

最後は息子の証言で判決につながると思いますが、車の中で父親が息子に言ったシーンは映像は父がしゃべっているが、声は最後まで息子のまま。これは真実なのか?父が死に母まで有罪になれば、自分はどうなるのか・・・自らの存在のための戦略としての息子の嘘なのでは?そう疑ってしまいます。

いったい真実は何だったのか。明確にされないままモヤモヤと映画館を出るのが私たち観客。

真実がすべて明白になった先には何が待っているのか。元来真実が明らかにされることはありえるのか?人間の限界を感じずにはいられません。だからこその人間なのかも。

昔「事件」というTVドラマがありました。毎回法廷で全く違う真実が浮かび上がってくるサスペンスが好きでした。でも真実の先に必ず幸せがあるばかりではありませんでした。法廷とは限界ある人間が、その後の歩みを進めるためのひとつの通過点でしかないのかも知れません。

samon
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150分の長尺はスリリングな法廷シーンで、まったく長さを感じさせません。単純なエンタメで無い、観る者に思考を要求する作品ですがわたしは大好きですね。機会あればぜひ御覧ください。

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