アレックス・ガーランド脚本「28年後・・・白骨の宮殿」渾身の悪魔ミュージカルシーン

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samon
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公開第2週ですが、すでに狭い小屋での上映

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結論

小屋の入りからしてこのすばらしい作品が多くの人に見逃されていくのは非常に残念。

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概要・あらすじ

本作の監督であるニア・ダコスタは、ダニー・ボイルとアレックス・ガーランドが築いた物語を拡張しつつ、それを根底から覆すかもしれない世界を新たに創り上げる。 ドクター・ケルソンやスパイクを待ち受ける悪夢、ジミーとの出会いが導く衝撃的な運命。
<人間>にとって最大の脅威は<感染者>ではなく、人間の<非人間性>こそが、最も恐ろしいものとなり得るのだ

公式HPより引用

  1. 前作からの続き: 28年前にウイルスが流出し、世界は壊滅状態。ウイルスを免れた少年スパイクは、最愛の母を亡くし、ウイルスが蔓延する本土で一人で生きる道を選ぶ。
  2. 「ジミーズ」との出会い: 感染者に襲われかけたスパイクは、ジミー・クリスタル率いる金髪の狂信的なカルト集団「ジミーズ」に救われる。
  3. 絶望と狂気: 「ジミーズ」は非感染者を「狂気」と「暴力」で支配し、救済ではなくさらなる絶望をもたらす。人間の中の「非人間性」が最大の脅威となる。
  4. ケルソン医師の動向: 一方、希望を捨てずにウイルスの研究を続けるケルソン医師は、特別な感染者「サムソン」に注目する。
  5. 「白骨の神殿」での邂逅: 異なる思想を持つケルソンとジミーは、ケルソンが建てた「白骨の神殿」で対峙することに。ウイルスだけでなく、人間の増幅する「悪意」と「暴力」がテーマとなる。 
    AIによる概要から
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感想

月曜10:45の回だが、観客はおじさん3人とカップル1組の5人。寂しいものではあります。3部作の真ん中というものあるでしょうね。映画は「前回までの28年後は・・・」などの前作の振り返りは一切無く、ジミーズに捕らわれたスパイクの災厄からいきなりスタートです。

ジミーズのメンバーとのナイフでの戦いを強制されます。自信たっぷりのジミーと不安いっぱいのスパイク。結果は意外なことに。スパイクはジミーズに受け入れられ、名前はもちろん「ジミー」に。対決したジミーは捨てられていきます。ジミーズの情け容赦ない有りようが描かれます。

本作の前作との差異は、活動場所がある程度固定されていることでしょうか。ケルソン医師のボーンテンプル「白骨の宮殿」周辺での出来事となります。

「シビルウォー」や前作のようなロードムービー的要素が減じられている。ロードムービー的要素は脚本のアレックス・ガーランド脚本の特徴かと思っていましたが、そんなに単純でもないようです。

本作の中心は、前作で恐怖のラスボスだった「アルファ」とケルソン医師の交流にあります。

前作で描かれた干潮時にだけ道が通じるモン・サン・ミシェル的島の村も、興味深い感染者の生んだ赤ちゃんもすっぱりと一切出てきません。

一方スパイクとジミーズの非道が描かれます。店も何もない世界でジミーズはどうやって食べ物などを得ているのでしょうか。強奪です。陸側にも感染せず暮らしている人々が点在するのでしょう。それを渡り歩いて人々から強奪する。ある一家に押し入ったジミーズの行為が、この作品の最も残酷なシーンです。これまでのような感染者が襲うシーンはぐんと少なくなっている。

感染者が襲うのでなく、非感染の人間が同じ人間に行う酷い行為が突き付けられます。ジミーズはそれを自分らが信ずる悪魔教の「慈悲」であると呼んでいるのがさらにグロい部分です。

ジミーズに強奪を受ける家族の最後の反抗は爽快です。家族のひとりである妊婦は見事に脱出していく。ジミーズの行為が絶えられないスパイクは、彼女に自分も連れて行ってくれるように頼みますが、彼女はスパイクもジミーズも一切信用していない。スパイクの伸ばす手をはたき落として、ひとりで逃げていきます。彼女ややがて生まれ来る子どもは三部作の完結編で登場するのかどうかも楽しみです。

さて本作の中心であり牧歌的ですらある、ケルソンとアルファの交流。ケルソンはアルファの見た目から、彼に「サムソン」という固有名を与えています。サムソンは旧約聖書に出てくる剛勇で、騾馬のあご骨で1000人を殺したとされています。

前作で、麻酔を使ってアルファの動きを止めることに成功していたケルソンですが、さらにサムソンに近づき、肩に触れ草原に二人座ってひなたぼっこ。ついには二人でダンスを踊ります。遠景から撮影される二人の姿は現状の地獄状態を忘れさせるものです。

二人でのひなたぼっこの途中、ついついケルソンは眠ってしまいます。観客にはサムソンの麻酔が切れるのではないかという緊張が走ります。目覚めたときサムソンはおらず、自分には何の危害も無い。サムソンへの治療の可能性が高まります。

ケルソンは純粋に医者として感染者サムソンを治療しようとしているようです。ディストピアになろうとも人間性を失わないサムソンの姿があります。これはジミーズの少年少女達と見事に対比的です。

そしてこの両者の交流が物語の最大のクライマックスとなっています。ジミーズのリーダーは自分への求心力を上げようと、ケルソンに悪魔の儀式の演出を依頼。ケルソンはそれを引き受け、最高のステージを作るべく工夫をこらします。これまた人間的です。頼まれた仕事を最高にしようと私たち頑張りますものね。

悪魔の音響演出が最も最高です。ケルソン手持ちのアナログレコードから選びに選んでアイアンメイデンのThe Number of the Beast

ケルソンは以前よりアナログレコードで音楽を楽しんでいました。レコードプレーヤーの動力は手回し式でゼンマイ仕掛けかわかりませんが、ハンドルをしばらく回すと手を離してもプレーヤーは回り続けます。

レコードを見つめて「ボリウムは11」とケルソン。プレーヤーは手回し動力ですが、増幅器はどうやら電力を使っている模様です。文明が崩壊したディストピアですから電源供給はもちろんなし。ということはソーラーバッテリーシステムで少しの電源も利用しているのだろうなと想像できます。

今回のこの悪魔演出に貴重な電力を惜しげもなく利用するケルソンの思いは、もう久しぶりのお祭りイベントだということでしょう。ケルソンは喜々としてこれに取り組む。メチャメチャ人間性に溢れてます。祭を楽しむ気持ちは人間の根源的な喜びのような気がします。祭がない人間集団ってあまりないような気がしますもの。

ジミーズに吹きかける粉ももちろん薬物に強いケルソンならでは。ジミーズの面々はもうメロメロでしょう。

加えてイベントのクライマックスでの炎の演出ももう最高でした。これまで音楽もエンタメもほとんど知らないジミーズにとってこの演出がどれほど衝撃的であったか。想像に難くありません。

最高の悪魔ミュージカルシーンに映画のおもしろさが爆発する名場面となりました。

期待のキリアン・マーフィー(28日後の主人公)は最後にちらりと登場。3部作の最終編に活躍することを感じさせて映画は幕を閉じます。

samon
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ダニー・ボイルとは違う色合いで楽しませてくれました。最高です。ぜひご覧ください。超オススメ。

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