アルゲリッチ・フレンズを聴く イグリー・ギトリスへのオマージュ 強力な存在感のアルゲリッチに一歩も引かない辻彩奈のフランクのソナタ

Classic
スポンサーリンク
samon
samon

NHKBSの早朝の番組「クラシック倶楽部」。国内で行われた室内楽演奏を中心に放送されるお気に入りの番組です。毎日録画予約しています。この中から、マルタ・アルゲリッチと日本のフレンズたちの演奏を聴きました。

スポンサーリンク

イグリー・ギトリス オマージュ

イスラエル出身の名バイオリニスト「イグリー・ギトリス」が2020年12月に亡くなりました。アルゲリッチとギトリスは盟友であり、共演の機会も多かったようです。亡くなったギトリスへの気持ちがこのコンサートになったというわけですね。

鬼才ギトリスの閃きと天才アルゲリッチの自在さが交錯。
現在でも盟友として共演機会の多いイヴリー・ギトリスと、マルタ・アルゲリッチがコラボレートした初めての録音であり、現在のところ唯一のセッション録音(オリジナルは伊リコルディ原盤)。鬼才と称して間違いないギトリスのヴァイオリンは、何ものにも束縛されない閃きに充ちたアプローチで濃密な演奏を展開しますが、それに対する天才アルゲリッチの自在な応答、柔軟な支え、のびのびとした表現にも目を見張るものがあります。古今の名演が多い両曲の中でも、特筆すべき存在です。(SONY)

HMVのサイトから引用

1977年録音の「フランク バイオリンソナタ」が最初の二人のコラボだったわけです。このフランクのソナタを中心に、パガニーニの主題による2台ピアノのための変奏曲(ルトスワフスキ)などがこのコンサートでは演奏されました。

スポンサーリンク

フランク バイオリンソナタ

今回ギトリスの代わりにフランクを弾くのは辻彩奈さんです。

1997年岐阜県生まれ。18歳にて2016年モントリオール国際音楽コンクール第1位、併せて5つの特別賞(バッハ賞、パガニーニ賞、カナダ人作品賞、ソナタ賞、セミファイナルベストリサイタル賞)を受賞。3歳よりスズキメソードにてヴァイオリンを始め、10歳時にスズキテンチルドレンに選ばれ、東京、名古屋、松本にて独奏を実施。2009年には全日本学生音楽コンクール小学校の部にて全国第1位、東儀賞、兎束賞を受賞。その他国内外のコンクールで優勝や入賞の実績を持つ。

オフィシャルHPより引用

国内外のあまたのオーケストラと共演し、また室内楽に力を注ぐ日本の才能です。仕様楽器は1748年製のガダニーニです。

たうたうような第1楽章。本当にすばらしいソナタであり、演奏でした。バイオリンの音程は完璧によくって、安心して身を任せることができます。アルゲリッチのピアノはやはり存在感が半端なく、バイオリンを凌駕しようとする場面も感じられます。ところが辻彩奈の演奏はアルゲリッチに一歩も引かない強靱さで、自らの音楽を構築していくようでした。これは終楽章まで一貫していました。

スポンサーリンク

クライスラー 「愛の悲しみ」

アルゲリッチほどの巨匠との共演となると、普通の演奏者はびびって、アルゲリッチに追従してしまうと思いますよね。辻彩奈は顔色一つ変えず、自分の音楽をアルゲリッチと共に作り上げていきます。これが真の演奏家の姿なのですね。

イグリー・ギトリスも「閃き」の演奏家と言われるほど、自らの音楽をもっていた人です。そんな意味でも、辻彩奈の起用は成功であったと思います。

クライスラーの小品でも、辻は明確な自分の世界をもっているようでした。目を閉じて演奏する姿は、完全にその曲を自分のものにしている自身にも見えました。

アルゲリッチの伴奏はとても抒情的で、やはり変幻自在の演奏ができるものすごい人であります。

samon
samon

アルゲリッチの演奏を通して、日本の名演奏家をしっかり楽しむことができた演奏でした。今年82歳になるアルゲリッチの情熱やセンスは、昔と何ら変わらぬものを感じました。何より、別府アルゲリッチ音楽祭を始め、毎年定期的に世界の各所で演奏活動を続けていくその姿勢がすごいですね。尻を叩かれた感じです。機会あれば裁縫を卯をぜひ御覧ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました