
youtubeたこやき氏のオススメ映画。はたして
結論
不思議な行政・司法の国韓国だが、映画エンタメはいつも私たちを楽しませてくれる
概要・あらすじ
「チェイサー」「ベルリンファイル」のハ・ジョンウが、電話越しにテロリストとの息詰まる攻防を繰り広げるキャスターに扮したリアルタイム型サスペンス。不祥事を起こし、テレビ局からラジオ局へ左遷された人気アナウンサーのユン・ヨンファは、ラジオ番組の生放送中、正体不明のリスナーからソウル市内の漢江にかかる麻浦大橋を爆破するという脅迫電話を受ける。いたずらだと思い電話を切ると、予告通りに麻浦大橋で爆発事件が発生。相手が本物のテロリストだと確信し、このスクープがテレビ局復帰へのチャンスになるとにらんだヨンファは、犯人との通話の独占生中継を始めるが……。
2013年製作/98分/G/韓国
原題または英題:The Terror Live
配給:ミッドシップ
劇場公開日:2014年8月30日ネットより引用
感想
ラジオアナウンサーに落とされた人気TVアンカー。上司への憎悪と返り咲きの野心を胸に、リスナー参加型のラジオパーソナリティーを鬱々とやっているハ・ジョンウに大きなチャンスが飛び込んできます。
漢江(ハンガン)に架かる麻浦大橋(マポデキョ)で爆弾テロが起こり、その犯人が生出演するという視聴率ジャンプアップ確実のチャンスがハの前に落ちてきたのです。ラジオでは無精髭だった彼はTV放送に返り咲くにあたり、髭を剃りスーツにネクタイで決めます。装いの変化が立場の変化を象徴する。
犯人の要求は大統領の謝罪ですが、よく聞く「政府は決してテロリストと交渉しない」を振り上げて権力の圧力のもと政府は応じようとしません。次々に橋が爆破されても政府は決して動こうとしない。国民が苦しんでいても何もしない政府は私たちの目の前にも存在していますね。よそ事ではありません。
映画はほとんどがラジオのスタジオ内と調整室で展開していきます。安上がりな半面巧みな脚本がなければサスペンスを維持できない難しさもあります。本作ではうまくクリアしています。
TVアンカーを真ん中に、庶民代表のテロリストと政府の圧力を対比的に描くのが本作だと思われます。大統領の代わりに出てきた警察の長官、本当に憎たらしいわけですが、彼とてさらに上の指示で動いているわけですから、冷静に考えるとテロ行為の矛盾は感じますね。
犯人の犯行動機は「恨み」なのですが、そのために犠牲者を出し、その犠牲者の家族にしてみれば、犯人が恨みを創出することになるわけで、ここにも矛盾が生じています。
犯人は爆弾のスペシャリストになったわけです。そのための教育を受けることができた。技術を身につけることができた。自力で生活していく力を得たのではないかと思われます。換言すれば恵まれている。そんな自分の力を仇討ちに費やすのが正しかったのかどうか。腑に落ちない点でもあります。

クライマックスでは、麻浦大橋の崩落からラジオ局の隣のビルの破壊、そしてラジオ局の倒壊ともうとんでもないことになってきます。人々の犠牲をあまり映さないのは制作側の良心でしょうか。
幼い表情の犯人を前にして、主人公の最後の決断は、政府体制側への韓国国民の気持ちを代弁しているとも感じられはします。
映画「ハルビン」の中でリリー・フランキー演ずる伊藤博文は「愚かな王のもとで民は苦しみ、何の見返りもなかった」のようなことをいいます。李氏朝鮮の腐敗政治をいっていると思われますが、現代にあっても不安定な韓国の政治を感じずにはいられません。弾劾される大統領、恩赦される犯罪者、少し不思議な国に感じてしまいます。
時に新たな韓国大統領が訪日します。オールドメディア(新聞)では、親日的な扱いをこの大統領にあてはめていますが、油断大敵だと思います。左派であり、多くの裁判の被告として提訴されている人物と認識しています。大統領である間は裁かれることがありません。これもまた韓国の不思議な法律。大統領だろうが誰だろうが、違法行為を行ったならば裁かれるべきですよね。

最後脱線しましたが、韓国の行政や司法がどんなに不思議でも、この国の紡ぎ出す映画エンタメは十分に世界中の人々を楽しませてくれます。98分とさくっと見られるサスペンスをアマプラでどうぞ。
コメント