アマプラ登場「28週後...」監督・脚本別人なれど冒頭独特の粒子調画質が印象 人間の戦の火の恐怖など新味多数

Movie
スポンサーリンク
samon
samon

インスタに来た8月のアマプラ新作一覧で「28週後」発見。とにかく見る

スポンサーリンク

結論

ハイスピードの残虐さの連続展開。監督・脚本の変化が作家性を如実に出す。完全別作品。

スポンサーリンク

概要・あらすじ

感染者が凶暴化するウイルスの発生から28週間後のロンドン。街は米国主導の軍の監視下に置かれ、復興が始まっていた。そんな中、スペインから帰国した幼い姉弟が、父と再会する。しかしそこに母の姿はない。そしてそれは、新たな悲劇の始まりだった。

ネットより引用

スポンサーリンク

感想

ろうそくの火の中で家族の食事が始まります。缶詰の食材は残り少ないものの、ほのかに笑顔も出る。老夫婦、中年夫婦、娘の家族の夜の食卓から映画は幕を開けます。ドアが叩かれ、子どもの声で「助けて」用心しながらドアを開けると、外は真昼間。室内との光の差で、外は最初は真っ白に輝いている。

徹底的に開口部をふさいで夜のように真っ暗になっていたという事実にガツンと驚かされます。子どもを助け入れるも、彼を追ってきた感染者の群れに、ふさいでいた開口部は次々に破られていき、外光が次々に差し込んでくる。光が届くというふつうは幸福な映像が、まったく逆になっている。衝撃の冒頭シーンです。

ここでの映像は粒子が多く、前作「28日後...」の解像度の悪い映像に寄せたのかも知れません。ほのかな幸せだった家族はあっという間に殲滅される恐怖。吹き荒れるパニックの中でロバート・カーライルの中年夫は妻を置き去りにして一人逃げてしまう。仕方ない状況だとしても夫の消えない原罪としてくすぶり続け、それが後のドラマに大きく関連してくるという作りです。

テロップにて「15週後に感染者は餓死」が出て、レイジ・ウイルス感染者が食料を摂取することができなかったことがわかります。ある意味ほっとします。ゾンビと違って、人肉を食するのではないということがうかがい知れるからです。むろん店舗内の食料品を摂取することもできなかった。ただただ感染者を増やすことに全力を尽くしていた。レイジ・ウイルスとはそんな感染症だったということ。

とすれば「28年後...」のミミズを食するスローローやたぶん生殖すら行うアルファは進化形だといえるでしょう。出産後の赤ちゃんが非感染である事実が示されたので、生まれた後感染させられる。なおかつ親は育児もするのではないかと思われます。人間の赤ちゃんほど、未熟に生まれ親の厚い育児が必要な生物はないからです。

さて話を「28週後...」に戻すと、感染者が餓死した後のロンドンが復興する姿を描いていきます。パンデミック時にスペインに修学旅行に行っていて難を逃れた娘と息子が帰ってきます。パンデミックはイギリスのみにとどまったということでしょうか。

ゆえにラストシーンはとんでもない恐怖となるわけですが。

父は子どもらに「母は死んだ」と説明します。置き去りにしたとはやはり言えないですよね。父の気持ちはよく分かります。母との思い出の品を取りに、復興区域外の自宅に子どもらが密かに行くことにより物語が動いていきます。うまいストーリー展開です。

復興管理に動いている軍の監視体制は完璧で、二人の子どもの行動は把握されています。実家で、生きていた母と再会した子どもたちの喜びが次なる不幸へのスタートとなる皮肉。本作の脚本は前作と比してかなり容赦のないものになっています。

脚本は監督のファン・カルロス・フレスナディージョとあと3人の計4人での共同脚本です。アレックス・ガーランドの手は離れているので、前作とはかなり色合い肌触りが異なります。ユーモアや緩みの部分が少なく、ハードな事態が連続していくきついものになっています。

共同脚本は黒澤作品などですぐれたものが多く残されているので否定するものではありませんが、作家性は少し薄れる可能性はあるでしょう。アレックス・ガーランドの特徴とも言えるロードムービー的要素は本作にはないように思われます。

本作は魅力的な女優が印象的です。姉役のイモージェン・プーツは北欧系の美女で大人っぽい顔とまだ少女性の残る身体が不思議な魅力を放っています。母役のキャサリン・マコーマックの魅力的目の演技。加えて軍の女性医師役のローズ・バーンの知的な中にセクシーさがほの香るのもいいです。

しかし彼女らもばっさりと処されてしまう容赦なき脚本です。

父から死んだと聞いていた母が生きていた。子どもたちの驚き喜びそして父への非難。父にとって最悪の状態になっていきます。母は腕に歯形があり、感染しているのに発症しなかったという進化形。「28年後」で感染者の進化形が出てくることの複線といえるかもしれません。

父は戸惑いと同時に生きていた妻への愛も維持していたのでしょう。妻とキスを交わす。この愛の行為が恐ろしい破滅へのスタートとなるのが何とも残忍な脚本です。

復興区域で起こった蟻の一穴によるパンデミックのスピードは恐るべきものです。この事態に対する管理軍の対応が戦慄すべきもの。「コード・レッド」と呼ばれるナパーム弾による一掃作戦実施です。ビルの間を炎が駆け抜ける空撮映像の恐ろしさ。このスケール感は前作「28日後」になかったものです。

人間が開発した戦の炎、ベトナムでは実際にこの炎の武器が使われたのですから、ゾンビも怖いがやはり「ヒトコワ」

「28日後」のイギリスの田園風景が中心となったある意味のんびりしたタッチは本作にはありません。スペインの監督さんなので「REC」的ヒリヒリ感とでもいいましょうか。「28年後」ではイギリスの美しい草原が戻ってきています。映画にも国柄って出るのだなあと感じます。

さてスクリーンに見覚えのある顔が登場します。管理軍の軍人で復興区を監視するスナイパー。彼は・・・そう「ホークアイ」です。ジェレミー・レナー。アベンジャーズシリーズでスクリーンを賑わす以前の2007年の若きジェレミー・レナーです。ヒーローであるはずの彼もずっぱり切られます。自己犠牲の感動はありますが、キャストの処理は容赦ないです。

ホークアイの連絡でヘリコプターに救われる姉弟。海を渡ってパリに逃げた姉弟ですが、残忍な脚本はハッピーエンドは許しません。ラストシーンの恐ろしさはぜひ映画で確認して見てください。

思い出した。ヘリコプターによる感染者惨殺。これもひどかったなあ。

samon
samon

残忍な脚本は好みが分かれるでしょうが、終始手に汗握るテンポの良い展開は私はおもしろく観ました。「28」シリーズにて異彩を放つ本作をぜひアマプラで観てみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました