毎月1日はファーストデー「映画の日」で1200円です。朝10時からの「はちどり」を観てきた。ユナイテッドシネマの小さ目の小屋。朝の上映とはいえ、結構な人が入っていた。やはり話題の韓国映画である。「はちどり」原題は「ハウスオブハミングバード」はちどりの家だ。その名の通り、巨大団地9階に住む家族の物語。商店街で餅屋を営む父母。高校生の兄姉、そして主人公のウニは中2の女子だ。この5人家族の1994年の春から秋にかけてのお話である。この年の10月21日金曜日、手抜き工事によりソンス大橋が崩落し、32人が死亡している。映画はその日に向かって静かに静かに進んでいく。ポン・ジュノ監督のエネルギッシュさとは対極の穏やかさであるが、その中にちりちりと積もるいらだちとその解消が寄せては引いていく波のごとく淡々と物語は綴られていく。物語の大きな鍵となる漢文の先生。その静かなたたずまい。高圧的な中学校の教員と対比的に描かれ、印象深い。ゆえに結末の悲しさは胸を刺す。儒教の国である。「親をうやまい、年上に敬意をはらう」また、男性社会であり、男性による暴力はたぶん茶飯事。しかし、この映画の男たちはみな情けない。娘の顔に傷が残るとめそめそ泣く父親。生き残った長女の横で泣き崩れる兄。ウニのボーイフレンドも優柔不断のふぬけ男だ。女たちは強い。そんな強い女たちの映画だ。韓国の演歌、ポップスが映画を盛り上げる。漢文の先生の訥々とした歌もよかった。ウニのカラオケも。音楽はこの映画の重要な要素となっている。韓国の新しい才能に拍手。おすすめの韓国映画だ。
コメント