アンソニー・ホロヴィッツ著 山田 蘭 訳 「その裁きは死」その読了までにずいぶん時間がかかってしまったが、ようやく終わりそうだ。ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第2作である。ホーソーンがホームズ、ホロヴィッツがワトスン的な位置の作品である。作者自身が登場人物になっており、物語の中に「刑事フォイル」の脚本家である旨が語られる。「刑事フォイル」は実際にテレビ放送された刑事ドラマで、その脚本をホロヴィッツが担当している。小説世界と現実世界が重なっており、おもしろい彩りを見せてくる。即ち、どこまで現実でどこから小説?という幻惑感だ。さて、本作だがクライマックスで、コナン・ドイルのホームズの小説が絡んでくるが、私自身少年時代に読んだことがあるかもしれないが、今やその詳細は忘却の彼方なので、いまひとつ「そうか!」は残念ながらなかった。しかし、魅力的な登場人物たち(ホーソーンやアキラ・アンノ日本人だ!)は愛すべきだ。中でもホロヴィッツは、語り手でありつつ、若竹七海の災難探偵葉村晶なみに災難続きで、愛して止まない人物だろう。エンディングで、ホーソーンが怪我を負ったホロヴィッツへの友情を感じさせるシーンが出て、鼻持ちならないホーソーンにも愛を感じずにはいられない。読みやすい訳で万人におすすめできる作品だ。ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ第1作「メインテーマは殺人」をさっそく、予約しよう。図書館にね。
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