諸星大二郎大好きです。手塚賞受賞の「生物都市」の衝撃をリアルタイムで体験した私は、以降諸星大二郎先生の虜です。独特の筆到ととんでもないストーリーテリングに惹きつけられます。諸星先生に惹かれる漫画家は多く、彼らが描く寄稿は諸星先生へのリスペクトに溢れています。一気読み必至。
漫画家 諸星大二郎
1949年長野県生まれ。「com」等青年誌に作品を発表していたが、1974年初めて少年ものとして描いた「生物都市」が手塚賞を受賞。同年から少年ジャンプに「妖怪ハンター」の連載を開始し、本格的な作家活動に入ります。
主に古史古伝に題材をとり、異形の存在によって日常の価値観や世界観を転倒させるような作品を多数発表している。また日常の不安を形にしたような寓意的な作品も得意とする。作品にはクトゥルー神話の間接的影響も随所に見受けられる。
重い読後感を残す伝奇作品を描く一方で、『ど次元世界物語』など、軽めの不条理めいたユーモア作品もデビュー当初より発表している[注 1]。また近作にはグロテスクさとユーモアが同居した『栞と紙魚子』シリーズという少女漫画作品もある。
SF・伝奇漫画家の星野之宣と親交がある。
wikiより引用
クトゥルー神話大好きな私は、「海竜祭の夜」は忘れられません。
諸星大二郎トリビュート
本トリビュートに参加した18人は、
萩尾望都 山岸凉子 星野之宣 高橋留美子 江口寿史 浦沢直樹 高橋葉介 藤田和日郎 山田章博 伊藤潤二 寺田克也 古屋兎丸 近藤ようこ とり・みき 唐沢なをき 平野耕太 ヒグチユウコ
これに亡くなった吾妻ひでおが生前に諸星にあてた色紙2枚が加わります。
また、諸星からのお返しとして、書き下ろし1編とトリビュートに参加してくれた18人への逆トリビュートが描かれます。
特に印象深い作品は、冒頭を飾る萩尾望都の「麒麟狩り」です。これは諸星の「西遊妖猿伝」のトリビュートです。大変美しい絵ですね。黒い麒麟は特にそう感じます。
盟友の星野之宣は、実に楽しんでいますね。「シン蝕惑星」と題するその短い作品は、絵自体も諸星を模してます。「生物都市」を中心に、マッドメンやカオカオ様、そしてついには「おらといっしょに、ぱらいそさ行くだ-」もそっくりに描かれてます。すごいわ。スマホと顔が同化した「手つなぎ鬼」は怖いなあ。最近マジでバスの中とか見回したら、みんなスマホ見てて、この手つなぎ鬼になっちまったみたいですわ。
高橋留美子は「不安の立像」を取り上げてます。彼女が高校時代に読んで、非常に怖かったそうです。半世紀近く経った今でも、「あれが立ってたらいやだな」と思うそうです。
不安の立像
私が「不安の立像」を読んだのは、「73年日本SFベスト集成」という筒井康隆編のアンソロジーでした。新書版の本で、通常の漫画本よりも小さく、線や絵がより緻密で美しく感じました。何より言いようのない怖さ、いつまでも心の底に沈殿してしまうような不安が残りました。
諸星大二郎の初期短編集として、今なお評価の高い作品に「不安の立像」があります。この短編集は、タイトル名になっている「不安の立像」の他に、「子供の遊び」「復讐クラブ」「海の中」「ユニコーン狩り」「真夜中のプシケー」「袋の中」「会社の幽霊」「子供の王国」を収録。中でも「不安の立像」は、今から30年以上前の1973年の作品でありながら、現代にも巣食う「心の闇」を描いた逸品として、熱狂的な人気を誇っています。
主人公は、真夏にもかかわらず、今のような冷房設備はない、扇風機が回っているだけの過酷な満員電車で日々通勤している平凡なサラリーマン。そんなある日、電車の窓越しに、駅に佇む黒い影法師を見つけます。不思議に思った彼は、同僚や駅員に影法師のことを尋ねますが、存在を知っていながらも、周囲の人々は全く無関心のまま。
斜め上からこんにちは より引用
いつも線路脇にじっと立っている影法師。いったい何のために?その理由がわかったときの底知れない怖さ・いぎたなさが諸星の描く影法師のどこまでも落ちて行くような黒ベタの中に表現されていて、本当にあの黒い立像が怖かったのを覚えていますね。私はこの作品だけ読んだので、短編集の別のものも読んでみたくなりました。特に「真夜中のプシケ-」はトリビュートでもよく出てきましたから。
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江口寿史は「貞操号の遭難」の3人娘を1枚のイラストで描きました。女の子を魅力的に描く江口の本領発揮。3人の女の子は大変セクシーでいつまでも見ていたいほどです。
諸星ファンといいながらも、このトリビュート本を読んでいて、まだまだ未読の諸星作品があることを痛感しました。膨大な作品群を少しずつでも楽しんでいきたいと思います。今回紹介した作品は、諸星大二郎が好きな方は絶対に楽しめると思います。また、諸星大二郎を知らない方は、ぜひ作品に触れてみてください。オススメです。
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