
参加している男声合唱団が出演。シューベルトやシューマンのドイツ音楽を堪能しました。
結論
独唱・合唱・バイオリン・クラリネット・ピアノによるバラエティに富んだプログラムでシューベルトとシューマンの音楽を堪能できました。何よりの発見は美術館ホールの響きのよさ。室内楽にぴったりの会場です。
概要
男声合唱団の指導もしてくださっているピアニスト後藤美樹氏のプロデュースする演奏会。長崎県美術館のホールにて開催されました。100人規模の小さなホールですが、響きのよさに驚きました。
出演 村岡恵理子(ソプラノ)斎藤 亨(バイオリンとビオラ)村畑 孝得(クラリネット)
後藤 美樹(ピアノ) 長崎メンネルコール(男声合唱)
感想
シューベルト/アヴェ・マリア
黒のドレスに大きな白のアクセントを配した衣装がすてきな村岡恵理子氏の柔らかいソプラノが「アヴェ・マリア」と歌い出すと会場が優しい雰囲気に包まれました。母に抱かれる赤子の心持ちで聴き惚れるばかりです。後藤先生のピアノも音色もこの上なく優しく寄り添います。
シューベルト/バイオリン・ソナタ第1番
弦楽器にとってもこのホールはすばらしい響きを演出してくれます。控え室での練習の音と比べてみて音の品位が倍加するようにも思われます。このホールは室内楽でもっと活用されてよいと思いました。
齊藤氏のバイオリンは三連符の連続やピアノとのあわせで若干の不安定さを感じたものの、19歳のシューベルトの描いた旋律の美しさや瑞々しさをよく表現していたと思いました。
モーツアルト/ケーゲルシュタット・トリオ
ピアノ・クラリネット・ビオラという変わった編成の曲。ボーリングの原型のケーゲルンに興じながら作曲したという逸話が題名の由来。齊藤はビオラに持ち替えて参戦します。クラリネットは県内で活躍中の若手クラリネット奏者村畑 幸得氏。
作曲当時新しい楽器だったクラリネットを単独で取り入れた初めての曲ではないかといわれています。3楽章構成の曲ですが、今回はその中から1つの楽章が演奏されたと思います。クラリネットの丁寧な演奏が印象に残りました。
シューベルト/聖なるかな
ドイツミサ曲であり、聖歌83番としても歌われる曲を私たち男声合唱団がアカペラで歌わせてもらいました。ホールの響きの良さを感じながら、気持ちよく歌うことができました。感謝。
シューマン/幻想小曲集作品73
休憩を挟んで後半は、そのクラリネットが主役の曲です。ピアノとクラリネットのために作曲されましたが、広い普及を狙ってバイオリンやチェロの楽譜も付されたようです。チェロではよく取り上げられる曲なので私は楽譜も所有していると思います。
3曲の短い曲が演奏されますが、徐々にテンポが上がる設計です。終曲は「急速に 燃えるように」との指定があり、チェロだと冒頭激しいトレモロで駆け上がるのが特徴的ですが、クラリネットの場合はトレモロにせず上行していくので全然違う印象になります。
どの曲もよく勉強され練習されていることが伝わってくる確信をもった演奏でした。これぞプロフェッショナルです。お若い方ですがとてもすばらしい演奏家だと思いました。
シューベルト/岩の上の羊飼い
最後のプログラムはピアノとクラリネットにソプラノが加わって、シューベルトの歌曲が演奏されました。)
1828年10月に作曲されたソプラノ、クラリネット、ピアノのための歌曲。死の直前に完成した最後の歌曲であり、ミュラーとシェジーの詩に基づく、孤独と春への希望を描いた約10分超の傑作。(wikiより引用)
珍しい編成と思いましたが、オリジナルの編成なのです。曲は3つのパートに別れています。1部は孤独の寂しさが歌われます。ピアノとクラリネットが奏するアルペンホルンのこだまのような旋律が印象的です。
第2部は春の訪れ、3部は喜びを歌い上げます。ソプラノの情感のこもった歌はすばらしいものですが、何と言ってもクラリネットの安定感が印象的です。これぞプロの演奏という感想をもちました。
シューベルト/野ばら
盛大な拍手に答えて、まずクラリネットアンコールとして「だんだん短く」がピアノを伴って演奏されました。曲が進むごとに、クラリネットの管を外していき、だんだん短くなっていきます。最後はマウスピースだけになります。ビジュアル的にも楽しい曲です。
そして最後に出演者が全員ステージに出て、会場のお客様も一緒にシューベルトの「野ばら」を日本語で歌いました。有名な曲ですが、これまで歌詞について思いをはせることは無かったのですが、今回初めて近藤 朔風がゲーテの詩を訳した「野ばら」を味わいました。
無邪気に野ばらを手折る子供と棘で差すぞとの抵抗空しく手折られてしまう野ばらの一抹の無念さは、通じ合えないことの非情をうたっているのでしょうか?ゲーテの恋愛の失敗を秘めているとの説も。
合唱団の仲間達と午後の暖かい空気の中、出島ワーフのテラス席で打ち上げの祝杯をあげました。最高に楽しい時間でした。

シューベルトを中心にドイツ音楽を楽しむことができました。今シューマンに興味をもっていますので、その面でもよかったと思います。

コメント